2019年1月31日木曜日

マルタ島の空港ピアノ

以前にこのブログで紹介したNHKのBS放送の「駅ピアノ」の姉妹編に「空港ピアノ」があり、数日前に放映されたものを録画で見た。今回は地中海のシシリー島のさらに南にあるマルタ島 ( 英語ではモールタと発音 ) の首都バレッタの空港ピアノだった。英国領から独立したのは50年ほど前なので公用語は英語。古代からの数々の遺跡に富み、とくに近世に騎士団により作られたバレッタ市街は美しく世界遺産となって居る。

現在のバレッタはヨーロッパで最も南の都市のひとつ ( アルジェやチュニスより南!)ということもあり、人気の観光地となって居るようだ。そのため空港ピアノに立ち寄る旅行者もヨーロッパのあらゆる国籍の男女であり、女性よりも男性がやや多かったのは日本と違うのではないか。

演奏曲目もショパンなどのクラシックから現代のポップス ( 多分!) と多彩だった。国境を越える音楽の力を感じさせられたと共に、黒人グループも含めてヨーロッパ ( 米国を含む ) 文化の共通性が印象的だった。地理的に近いアラブ人が皆無だったのは母国が観光客を送り出す余裕がないことも一因かもしない。マルタ島といえばおよそ日本とは無縁の地と思われがちだが、第一次大戦中に英国海軍を助けて地中海に派遣された駆逐艦乗組員の死者数十人が眠る旧日本海軍戦没者墓地がある。

空港のピアノ自体はNHKが各空港に設置しており、楽しくも考えさせる番組を考えたと感じる。日本にもピアノを設置する駅や空港はあるとも聞くが ( 私は知らない ) 、日本人の場合、恥ずかしがって挑戦者は少ないかもしれない。

2019年1月27日日曜日

やまゆり園事件 二年半後

相模原市の障害者施設「やまゆり園」での職員による大量殺人事件から昨日で二年半になるという。それを回顧したテレビの報道番組 ( 局名は忘れた ) を昨日見た。世に殺人事件は絶えないが、過去にたった一人の犯人によるこれほどの大量殺人事件がわが国にあったか思い出せない。抵抗のすべもない身障者相手だから有り得た陰惨極まりない事件だった。

番組中の指摘で19名の死者の名前は未だに匿名であると改めて知った。むろん家族の希望を尊重してのことだが、家族といっても必ずしも非公開を希望する人たちばかりではないとのこと。逆に、匿名により「すべてを否定されたように感ずる」「 ( 健常者と ) 命の重さが違うように感ずる」家族がいるのは十分理解できる。元職員には慰霊碑の建立を願う者もいるが、犠牲者の氏名を銘記すべきかどうか、結論に至らないらしい。

犯人の元職員はむろん特異な性格の持ち主だったろうが、本人は殺人に至った動機として、危篤状態の収容者を救ったのに家族から感謝の言葉がなかったことを挙げていた。そうした家族の存在も十分あり得る。家族の精神的負担の重さは部外者の想像を超えたものがあろう。

現役の看護師でもある宮子あずさ氏は一年前の東京新聞 ( 2018年1月29日 ) の『本音のコラム』に「これ ( 事件 )を知った瞬間、心が痛んだ」と回顧している。「せっかく救命できても、手がかかるようになった家族からは喜ばれない。そんな経験を何度もしたからだ」「介護にせよ看護にせよ、ケアを仕事とする人間は、きれい事で無い現実を見る」「この問題の存在を認めた上で、対処が必要だ」。

私は死刑存置論者であるが、この職員に死刑は当然であるとまでは言い切れないている。

2019年1月24日木曜日

日露領土交渉 打ち切りもあり得る

安倍首相とプーチン露大統領の25回目?の会談は何の成果も生むことなく終わったようだ。これ以上交渉を続ける価値があるかが問われている。

旧ソ連崩壊後のロシアの混乱期には4島返還の可能性もあったろうし、大統領職に復帰したプーチンが領土問題での「ヒキワケ」を口にした頃には少なくとも2島返還の可能性はあったろう。だがそれ以後明らかに彼の態度は後退した。以前からラブロフ外相は対日譲歩を否定する発言を繰り返してきた。これ迄はそれを、妥協も視野に入れるプーチンとの役割分担とも解し得たが、仮にそうだとしても度重なる外相発言がロシア国民に4島領有を正当と錯覚させる効果を果たしたとすれば逆効果だったことになる。じじつロシアの国民世論はいよいよ頑なになってきた。

領土の返還よりもロシアに対する経済支援を優先しているプーチンの発言は、ロシア世論を対日譲歩に導く効果を狙っていると解することも不可能ではないが、彼の真意はわからないし、何よりそれでロシア世論が妥協的になるとの期待はとても持てない。安倍首相は経済支援の食い逃げを許してはならない。

多年、日露間の交渉に従事してきたクナーゼ元ロシア外務次官に、「ロシアは歯舞、色丹を引き渡す用意がないと思います」( 『朝日』1月24日 )と言われては期待は持てない。経済支援の先行を許さない結果、2島返還が実現しなくても止むを得ない。漁業域 ( EEZ )の拡大を考慮しても2島返還にそれほどのメリットは感じられない。米国のシェールガス実用化により日露協力による資源確保のメリットもかつてほどではなくなった。

多大の流血を経ても兎も角も沖縄、小笠原を返還した米国の態度と比較したくもなる。それを知らしめたなら安倍首相の奔走もそれなりの意味はあったのだろう。意図とは違うとはいえ。

2019年1月22日火曜日

中等教育の危機

数日前? 東京の西郊の某都立高校の教師が生徒に暴力を振るったとして処分された ( されかけている?) との新聞報道があり、テレビ番組で教師が生徒を文字通り殴るスマホの場面が放映された。

ところが昨21日朝の日本テレビでそれ以前の1分15秒の動画が紹介され、驚き呆れた。その1分15秒間、その生徒は教師に暴言を連ねて挑発していた。そもそも動画は、怒った生活指導係の体育教師が暴力を振るうことを予想して仲間がスマホ撮りしていたのであり、ツィッター上で炎上させようとの発言も聞き取れた。

ところが今日の朝刊各紙はこの放映への論評もなければ独自の追加報道もなく、全くの黙殺だった。しかし、今日22日の昼のテレビ番組 ( フジとTBS )でこの不良グループの悪辣さが取り上げられたので、間もなく週刊誌が一斉に取り上げるだろうが、新聞の沈黙は何ゆえだったのか。

新聞以上に情けなかったのは当の高校長であり、今日のテレビによれば生徒の側に非は無かったと記者会見で語ったという。この不良グループの存在を全く知らなかったとは思えないが、少なくとも当の教員から事情聴取したはず。事なかれ主義もここまで来たかと思わざるを得ない。逆に職を賭しても罠に落ちた部下を守るのが上司の務めだろう。

最近、小中高教員の採用試験の倍率が低下しており将来が心配ととのことだが (『朝日』1月21日)、今回のような事件対応が一般化すれば教職の人気はさらに低下し、デモシカ先生ばかりになりかねない。大手新聞が教師へのこれほどの不可解な処分を黙視するならば、問題の高校の親たちが立ち上がり、教諭への不当処分を是正させるほかなさそうだ。

2019年1月19日土曜日

新入国管理法再論

今朝の毎日新聞の『経済観測』というコラムに日本の「ベトナム簿記普及推進協議会」の理事長なる人物が、昨年の入国管理法改正の結果が「大変に心配だ」と危惧を表明している。過去10年ほどもベトナムに関わってきたとのことなので実情に疎いとは思えず、「約束と違う低賃金や過剰な残業に苦しむ」との指摘はこれ迄の新聞報道でもよく指摘されたところである。

しかし、氏が指摘する日本語教育の充実を始めとし改善すべき点は多々あるとしても、ベトナム人研修生は強制的に徴用されてきた訳ではないし、両国間にこれだけの人的交流がある時代に日本の実情に全く無知で来日したとも思えない。

同じ毎日新聞 ( 12月24日 )に、元ベトナム難民で現在は日本国籍を持ち実習生事業  ( 人材派遣会社?)に従事している人の主張が載っていた。それによればベトナムの平均月収は約2万3000円。仮に悪質ブローカーに100万円の手数料を払って来日したとしても、月2~3万円の送金があれば家族は困らず、研修期間の3年間に100万円の貯金は可能であり、それで家が買えるとして受け入れ拡大に賛成している。

二人の主張はどちらも誤りではないだろうが、私には12月24日の記事の方が大局を捉えていると感じる。それによると3751人のベトナム人研修生が失踪したとのことだし、以前の新聞報道によると3年間に400人近い研修生の自殺があったが、どちらも分母である総数や同年齢層の日本人の自殺率との比較を欠いては一概に多いとは言えない。

ベトナム人は前大戦中 ( 日本による占領期 )に多大の人的被害を被ったのに親日的である。そこには中国への警戒心も働いているだろうが、死力を尽くして戦った相手のフランスや米国とも現在良好な国家関係を持つように、対中警戒心だけでは説明できない国民性の問題もあるようだ。私はベトナム各地に旧研修生の新築の家が見られれば素晴らしいことだと思う。彼らは宗教原理主義とは無縁のようだし。

2019年1月17日木曜日

相撲人気は安泰か?

今朝の新聞もテレビも稀勢の里の引退の話題で持ちきりである。横綱昇進後の成績は最悪だったのにこれほど惜しまれる関取も珍しい。寡黙で忍耐の人という日本人が好みそうな人柄も大きいが、やはり久し振りの日本人の横綱ということも大きかったろう。私にとっての彼は白鵬の連勝を阻止して双葉山の68?連勝記録を守った大功労者である。

今場所は大関陣も負けがこんでおり、新旧交代の時期ということのようだ。しかし、若手の先頭を切る御嶽海も貴景勝も突き押し相撲一辺倒のようで物足りない。栃若時代に帰れと言っても仕方のないことだが、豪快な投げの打ち合いこそ相撲の醍醐味と思うのだが。

じつは栃錦も横綱になるまでは出投げや二枚蹴りを得意としていたが、横綱昇進後は押し相撲に変わった。ガップリ四つでお互い十分よりも相手に何もさせない取り口の方が玄人の評価は高いと聞いたことがある。

しかし爽快な取り口という点では、変幻自在の四つ相撲だった日馬富士の引退は残念至極である。暴力は無論良くないが、相撲の稽古など素人には暴力との見分けがつかないほど激しい。相撲界に一般社会の基準を当てはめて角界から完全追放するほどのことだったのか。相撲はスポーツでもあるが興業でもあるなどと言えば今の世の中顰蹙を買うのだろうが、何より面白くない相撲は見たくない。それでも相撲人気は安泰だろうか。

2019年1月14日月曜日

韓国は友好国か?

我が国と韓国の間には従来からも慰安婦問題や元徴用工の補償問題など波風が絶えなかったが、自衛隊の哨戒機に対する火器管制レーダー照射問題でいよいよ対立が深刻化した。事実の評価いかんではなく、事実の有無そのものが問題となっているのは妥協を困難にする。

レーダー照射問題ではまだ結論が出たとまでは言いたくない。韓国側撮影の自衛隊機は遠く小さく見える。なぜ韓国は自国ではなく自衛隊機の撮影した画像で主張の大半を補強しなければならなかったのか。逆に自衛隊機の撮影した画像では韓国軍艦にかなり接近しているように見える ( ズーム効果を割り引いても ) 。

それでも照射自体はおそらく有ったろう。そうだとしても真の問題は艦長命令にせよ部下のハネ上がりにせよ、レーダー照射は韓国軍が日本を友好国とは考えていないことを示しているのではないか?  韓国側だけがそうだという気はない。日本の与党政治家が、「韓国は友好国なのにこんなことをするのか」と発言していたが、当人は本当にこれまで友好国と考えていたか?

私は民選大統領下の韓国は、キムデジュン大統領の期間を除いて日本の友好国だったとは思わないので、レーダー照射があっても驚かない。韓国は三権分立の国だから司法部の判決に安易に介入しないとの文大統領の主張は筋が通っている。しかし、国際法に反する日本大使館前の慰安婦像を撤去するのに法的問題はないはずである。友好国のリーダーならそれを放置するはずがない。

「冬ソナ」以来、日本のテレビは毎日複数の韓流ドラマを放映し、訪日外国人数では韓国と中国が首位を競っているというのに、日韓関係の冬はいつ終わるとも知れない。同じく日本に植民地化された台湾では、日本支配時代の神社が「町おこしの起爆剤などとして地方の人たちに見直されており、各地で復興されている」とのこと( 『東京新聞』1月12日 )。 煉瓦造りの風格ある旧総督府を保存する台湾と、堅牢一本やりの旧総督府を取り壊した韓国では美的観点からはどちらも理解できる!


2019年1月7日月曜日

蒐集癖の末路

旧年末の夕方、電話に出たら不用になった洋酒や切手があれば買いますということだった。皆無というわけではないが、最近いかがわしい回収業者の話も聞くので「有りません」と返事した。

最近の子供たちは知らないが以前には一定の年頃に切手を蒐集する子どもはよくいたと思う。私もその例外ではなくそうした時期があり、その後蒐集品の半ばは散逸したが、残りはスタンプブックに持っていた。むろん「見返り美人」のような珍品も印刷ミスの切手 ( とんでもない高価 )も無いが、記念切手が出ると買っていた。ところがその後、郵政省が金儲けのためやたらに記念切手を発行するようになり、馬鹿馬鹿しくなり切手趣味から離れた。今では当時の切手は現在との価格差のため使用もならず、その存在すらあやふやだった。

ところが最近になってスタンプブックが見つかった。貴重な切手は無いがシートで購入した切手が20~30枚あり、「奥の細道シリーズ」など、これまで訪ねた名所の風景が思い出され懐かしい。いまさら処分もならず、娘に後事を託した。

切手に限らず人間には蒐集癖というものがある。私もカメラを10台程度所有するが、それらはすべて使用をするために購入したものであり、蒐集癖からでは無い。むかし学生が博物館学習に従事している半蔵門近くのカメラ博物館をお礼のため訪問したことがある。応対していただいた館員は偶然その直前のお宝番組で見かけた人だった ( その後もカメラ鑑定のたびに見かける) 。同氏によるとその時のカメラには大したものはなかったとバッサリだったが、番組ではそれほど低評価でも無かった。カメラに限らず評価価格はこれから買えばということのようだ。