2018年11月12日月曜日

日中対立の沈静化のためには

今わが国の観光地には、政府の掲げた到達目標を超える外国人観光客が訪れている。とりわけ数が多い中国人客に顔をしかめる日本人は少なくないが、観光地がこれにより大いに潤っていることは貴重であり、歓迎すべきである。

観光客の増加だけではない。技能研修生をはじめとし、中国人やその他のアジア人がわが国に多数滞在し働いている。彼らに日本の受入れ方への不満は当然あるだろうし、メディアもそれを書き立てる。しかし、約束された労働条件が守られないケースなどはあってはならないが、私は自分の英国滞在 経験( わずか2年間だが ) から帰国後の彼らが日本での生活をこころ良い思い出とする親日派になると確信する。何と言っても先進国には範とすべき点が多いから。

観光客や滞在者の影響だけではない。テレビ局名は忘れたが、中国で若者を中心に日本の大衆文化やファッションや料理などをSNSなどで紹介する有名無名の発信者 ( インフルエンサー )が多数存在し、その受信者は4億人にも及ぶという。日本の外交官も中国人に好印象を持ってもらうよう種々務めているに違いないが、このSNS発信者の影響力には遠く及ぶまい。中国政府が後援する抗日映画や抗日テレビドラマで日本人をいかに悪者に描いても、いつかはそれらが信用されない日が来よう。それでも日中間に領土や資源の争いが再発すれば状況が一変するだろう。永続的な友好のためにはそれらを未然に沈静化しておく必要があろう。

尖閣諸島の帰属と東シナ海での資源問題は日中間の将来の火種の二大原因だろう。どの国も領土問題となると「疑問の余地なく」自国領と主張するが、日中国交回復時に尖閣諸島の帰属が未定となったことは鄧小平の「 後の世代は我々よりもっと賢い」との発言に明らかである。どちらの主張がより正しいかは別とし、「疑問の余地なく」とまで言えるかどうか。東シナ海での石油や天然ガスの採掘問題にしても、たとえ中間線付近での採掘でも中国の大陸棚内のため、送油パイプは中国内に敷設することになるのではないか ( 日本との間に海溝の存在 ) 。

住民もいない尖閣帰属問題も本質は資源問題と考えれば分け合うことも可能だろう。せっかく中国国民の間に生まれつつある対日感情の変化を無にするほどの価値が領土問題にあるだろうか。




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