2018年11月26日月曜日

大阪万博の開催決定

大阪が二度目の万博開催地になると決まった。メディアでは賛成派の喜びの声を主として取り上げているが、少数ながら反対派ないし懐疑派の声も紹介されている。いたって健全な扱いである。

私自身は熱烈にではないが賛成派である。前回の万博からおよそ半世紀の間、東京ないし首都圏への一極化は止むことなく続き、大阪ないし関西圏は京都観光などの例外を除けばその比重は低下するばかりだった。万博一回ぐらいで大勢挽回とまではいかないが、一極化への一定のブレーキには成るだろう。

国土の均整のとれた発展は誰もが願う理想だが、現実は理想通りにはならない。いっとき首都移転も論ぜられ、候補地の名まで散見されたが、白日夢に終わった。ならばせめて2極化3極化を目指すべきだろう。とりわけ最近の自然災害の多発を経験して強くそう思うようになった。

大地震にせよ大型台風にせよ ( 首都圏には富士山の大噴火の可能性さえある ) 、人口や経済活動が集中するほど危険は高まる。せめて中心が二つの楕円化は望ましい。

かつて石原都知事時代、東京都が湾岸の休閑埋立地に世界都市博を招致しようとしたように、今回の大阪も人気が今ひとつの夢洲の有効利用との下心があったろう。その計算にはカジノ ( IR )誘致も入っているだろう。

カジノの誘致には賭博依存症という別の問題もかかわる。私にはわが国の庶民がカジノに通うとは思えないし、依存症問題なら現在のパチンコ、競馬競輪、とりわけパチンコの方がはるかに重要な問題だろう。現在の野放しのパチンコが原因の賭博依存症こそ早急に対策 ( 禁止ではなく制限 。庶民の楽しみでもあるので ) を必要とする問題だろう。

2018年11月22日木曜日

物価動向 上昇か下降か?

先日、近所のスーパーで10個入りのタマゴケースを100円で売っていた。安い理由はケース内のタマゴの大きさが不揃いのままだからとある。確かに大小のタマゴを選り分ける手間賃だけ安くなる道理である。しかし、開けてみたら不揃いでもなかった。安売りの口実に過ぎなかったようだ。

タマゴが物価の優等生と言われて久しい。それは規模拡大など養鶏場の懸命の努力の結果だろうが、それにしても頭が下がる。タマゴが貴重な栄養補給源だった時代 ( 今でもそういう国は少なくないだろう ) を知る者にはケースに入れて10個100円など、天を冒涜する所業にしか思えない!  タマゴだけではない。牛肉が今ほど安く食べられる時代はないと以前にこのブログに書いたが、米国産牛肉が100グラム100円は珍しくない。

飲料や調味料を始めとしていつの間にか容器を小さくして実質値上げをしているケースをよく聞くので、一方で値上げの趨勢が存在することは間違いない。しかし、スーパーにはワンコイン前後で買える弁当が多く並んでおり、内容も貧弱ではないようだ。極めて少食の私は量の調節が容易なスシしか買わないので断言はできないが。

今朝の新聞に「平飼い鶏の朝採れ」タマゴの広告が載っている。Mサイズで10個1000円である。タマゴだけでなく多くの食材で最低と最高の価格差が拡大しているようだ。タマゴの10倍差など少ない方だろう。地域ブランド物などそれ以上も少なくないのでは?  自分の資力で何をいくらで買うのも自由だし、ブランド物の価値を否定しないが、自分は高価なブランド物を食しながら物価高を声高に叫ぶのはどんなものか?

2018年11月16日金曜日

理性と感情の相克

安倍首相とプーチン露大統領の会談で、日露平和条約締結交渉は1956年の日ソ共同宣言 ( 歯舞と色丹の2島返還を認めた ) を基礎とすることで両者が合意した。安倍首相は北方4島の返還というわが国の多年の主張を実質断念したとみられる。

今日ほぼ出そろった新聞各紙の主張は大きく分かれている。日ごろ安倍内閣を擁護する『産経』が「 日本が追求すべきは、不法占拠された4島の返還であり、空疎な「平和条約」ではない」と譲歩に絶対反対なのに対し、日ごろ安倍内閣に極めて厳しい『東京』は「最後の好機を逃すな」との見出しで「トップ交渉23回、この積み重ねが水泡に帰するのはあまりに惜しい」と、心ならずも?安倍擁護と取れる主張である。

三大日刊紙では『毎日』が、「共同活動が行き詰まった」以上、「56年宣言に立ち戻るのは止むを得ないだろう」と消極的でも支持なのに対し、「拙速な転換は禍根を残す」との『朝日』は『産経』に近い。「国民が納得できる説明をするのは当然の責務だ」( 同紙 ) は自社の判断を示さず国民に責任転嫁していると読める。『読売』の「国民にかなう決着を目指せ」も同工異曲である。「国民にかなう」のはどちかは言わない。両紙とも巨大メディアのズルさと言うべきだろう。

私自身は理性的には「最後の好機を逃すな」との『東京』に傾くが、感情的には北方領土の7%でしかない2島返還での妥協は面白くない ( ロシアには大国の器量はないのか!)。「( 2島返還に ) 安倍首相がこだわるのは自分の実績にしたいから」( 岩下明祐九大教授  『朝日』)を頭から否定はしないが( 吉田茂、田中角栄に並びたい?) 、国民の支持も見込めず右翼の猛反発が予想される ( テロすらあり得る ) 決断をこれまで誰も避けてきたことも考慮して良いのではないか。



2018年11月14日水曜日

大谷がア・リーグの新人王に

大谷翔平が米国のアメリカン・リーグの新人王に選ばれた。しかも、1位票30票中25票という予想外の大差で。

シーズン途中に腕の筋肉を痛めたため、他の2候補より打撃の3部門 ( 打率、打点、本塁打 ) で劣っていたが、投手として4勝したことも評価されただろう。しかし何よりも記者たちの心をつかんだのは、「野球少年の熱意に共感」との新聞の見出し ( 紙名は忘れたが ) が示すように、野球が好きでたまらない少年といった彼の姿勢だろう。

そもそも米国野球界への彼の移籍は制度の切り替え期に当たったため、あと1年か2年待てば契約金が何倍にもなるはずだった。米国の代表的野球記者たちがそれを記憶していないはずがない。米国の国技である野球への彼の溢れんばかりの熱意が記者たちの心を打たない筈がない。何よりもそれを示したのは10盗塁という数字だろう。投打の二刀流にも満足せず、果敢に次の塁を奪う投手など、ベーブルースを凌ぐ前代未聞の事態だったのではないか。自国の国技へのこれほどの献身に米国人として感激してもおかしくない。

むろん爽やかな彼の好青年ぶりもファンや同僚の共感を呼んだだろうが、それで新人王に選ばれるはずもない。それでも彼がチームメイトに愛されている様子は中継画面から伝わってくる。彼の活動と人柄には米国野球界に人々の心を引き寄せる存在感がある。今後ともファンや同僚に愛される存在であってほしい ( お前はメジャーリーグへの人材流失に反対ではなかったのか! )。

2018年11月12日月曜日

日中対立の沈静化のためには

今わが国の観光地には、政府の掲げた到達目標を超える外国人観光客が訪れている。とりわけ数が多い中国人客に顔をしかめる日本人は少なくないが、観光地がこれにより大いに潤っていることは貴重であり、歓迎すべきである。

観光客の増加だけではない。技能研修生をはじめとし、中国人やその他のアジア人がわが国に多数滞在し働いている。彼らに日本の受入れ方への不満は当然あるだろうし、メディアもそれを書き立てる。しかし、約束された労働条件が守られないケースなどはあってはならないが、私は自分の英国滞在 経験( わずか2年間だが ) から帰国後の彼らが日本での生活をこころ良い思い出とする親日派になると確信する。何と言っても先進国には範とすべき点が多いから。

観光客や滞在者の影響だけではない。テレビ局名は忘れたが、中国で若者を中心に日本の大衆文化やファッションや料理などをSNSなどで紹介する有名無名の発信者 ( インフルエンサー )が多数存在し、その受信者は4億人にも及ぶという。日本の外交官も中国人に好印象を持ってもらうよう種々務めているに違いないが、このSNS発信者の影響力には遠く及ぶまい。中国政府が後援する抗日映画や抗日テレビドラマで日本人をいかに悪者に描いても、いつかはそれらが信用されない日が来よう。それでも日中間に領土や資源の争いが再発すれば状況が一変するだろう。永続的な友好のためにはそれらを未然に沈静化しておく必要があろう。

尖閣諸島の帰属と東シナ海での資源問題は日中間の将来の火種の二大原因だろう。どの国も領土問題となると「疑問の余地なく」自国領と主張するが、日中国交回復時に尖閣諸島の帰属が未定となったことは鄧小平の「 後の世代は我々よりもっと賢い」との発言に明らかである。どちらの主張がより正しいかは別とし、「疑問の余地なく」とまで言えるかどうか。東シナ海での石油や天然ガスの採掘問題にしても、たとえ中間線付近での採掘でも中国の大陸棚内のため、送油パイプは中国内に敷設することになるのではないか ( 日本との間に海溝の存在 ) 。

住民もいない尖閣帰属問題も本質は資源問題と考えれば分け合うことも可能だろう。せっかく中国国民の間に生まれつつある対日感情の変化を無にするほどの価値が領土問題にあるだろうか。




2018年11月8日木曜日

世界で最も安全で犯罪の少ない国

Business  Insider ( Japan ) という米国に本拠を置くビジネスや技術中心のウェブサイトが、「世界で最も安全で犯罪の少ない国 20 」という記事をネットに流している。

私の予想ではヨーロッパ諸国とくに北欧諸国が上位に来るだろうと考えたが、事実、1位のフィンランド、3位のアイスランドを先頭に、11ヶ国がヨーロッパ勢であり、4ヶ国が旧英領諸国 ( 2位シンガポール、6位ニュージーランド、8位香港、16位オーストラリア ) である。現在紛争の多発している中東やアフリカ諸国も、4位オマーン、9位アラブ首長国連邦、15位カタール、19位バーレーンと中東4ヶ国が健闘?している。日本は10位でこれも健闘というべきだろう。

国連安保理常任理事国5ヶ国が入っていないように、大国小国と規模の違いも考慮する必要があるが、以上の順位はこんなところだろう。中東4ヶ国はすべて君主国 ( 首長国 ) で非君主国は無い。北アフリカを加えても、政情が何とか安定しているのはモロッコ、ヨルダンなど君主国である。エジプトを例外とすれば、非君主国の大部分は近年、観光ツアーの訪問先から脱落した。かつてはチュニジア、シリアなども訪問国に入っていたのだが.......。

国内に有力な産業の無い途上国にとっては観光は有力な「資源」なのだが、それを利用出来なくなった国はつらい。何とか悪循環を避けて国民生活の向上を目指す方法は無いものか。

2018年11月5日月曜日

中国のバス事故

新聞に中国で男性のバス運転手に女性乗客が殴りかかり運転手が我を忘れて応戦したためバスが橋から湖に転落し、乗り合わせた乗客十数名を巻き添えに全員が溺死したとの記事が載っていた。殴りかかると言っても女性のこと、平手で頭を叩いたのだろうと想像した。

ところが水中から引き揚げられたドライブレコーダーに写った一部始終を見たら、女性はスマホを手にして文字通り殴りかかっていた。運転手は直ちにバスを停めるべきだったが、カッとなって応戦した気持ちも分かる気がした。

中国人女性の気性の激しさなどと安易に一般化するのは危険だが、私にも多少の経験がある。未知の中国人女性研究者 ( 西洋史 ) に依頼され、大学の「外人教師館」の一室を紹介したことがある。すると、まもなく別の部屋が空いた。多分そちらの室料が多少安かったのだろうが、彼女が部屋の変更を申し入れたが、事務側は前約もあったのだろう、彼女の再三の申し入れを断わり私も巻き込まれた。空いているのだから使わせろとの申し入れが理不尽ということはないが、日本人だったら一度断られたら断念するだろう。

自己主張する女性が悪いとは言えない。逆に我が国の政治家や経営幹部に女性が少ないことと自己主張の弱さを関連付けることもできるだろう。国民性の違いと言うべきだろう。ただ私は運転手と乗客の争いで溺死したくないだけである!

当時の「外人教師館」は、外人という呼称が蔑称だとして「外国人教師館」と改称されたと聞く。しかし、外人という古くからの言葉に軽侮のニュアンスがあったとは思わない。何も知らない新来外国人の発言に影響されて、昨日今日できた大学には無い由緒ある名称が無くなったのは残念である。

2018年11月3日土曜日

安田純平氏と「自己責任論」

シリアで過激派に捕らわれて3年4か月身柄を拘束されていた安田純平氏が帰国し記者会見した。帰国予定が報ぜられてから「自己責任論」が噴出したかのように聞くが、私の知る限りマスメディアで安田氏の自己責任を追求した報道を見聞した覚えはあまり無い。それはインターネット上でのことでは無いのか。むしろ私の見聞では自己責任論「批判」が大勢だったと思う。

私自身は安田氏がシリアで被った苦難を思えば無事帰国となり本当に良かったと思うが、メディアに溢れる自己責任論「批判」には違和感を覚える。安田氏自身が「批判、検証をいただくのは当然。紛争地に行く以上は自己責任」( 『東京新聞』11月3日 )、「自業自得」とまで答えている。今の時点ではそう言う他なかったろうが、それが本心では無いとは言い切れない。同氏が捕らわれた時点では既に後藤健二氏と湯川遥菜氏の無残な処刑が知られており、日本政府の渡航禁止措置は十分の根拠があった。

一部の新聞に「謝罪不要」との外国人記者の発言を紹介しているが賛成できない。安田氏の釈放のため身代金が支払われたかは現在のところ不明である。仮に支払いが無かったとしてもカタールやトルコが仲介の労を取ったなら、両国は日本に恩を売ったと考えるだろう。中東諸国間の複雑な対立関係で日本の立場に障りがないとは言えない。もし身代金が支払われたならそれが過激派に利用され、何倍もの犯罪を生むかもしれない。報道や取材の自由は最大限尊重されるべきだが、結果責任は負わねばなるまい。