世界の四大文明の発祥地といえば、エジプト、メソポタミア、インドと並んで黄河流域が歴史教科書の常識だった。しかしごく最近、黄河文明とほぼ同時期に長江文明が存在したことが明らかになりつつある。古蜀国とも呼ばれるこの文明は北からの秦、ついで諸葛孔明の蜀の攻撃を受け突如歴史から姿を消したが、現在のイ族がその末裔であるとの説が有力となりつつある。
寒冷地で蕎麦と放牧で生計を営むイ族の生活は厳しく、子供たちは麓の町の寄宿舎に住み学校に通う。そこで中国語を習得する子供たちは他郷に職を求めることになる。わが国で先ごろ放映された『ひよっこ』の時代を思わせる。
町で始めた焼肉商売で1ヶ月に村の1年間の収入を稼いだ村長の息子は、村の発展のため食肉工場を誘致する計画を立てるが、父親はそれによる貧富の差の拡大、共同体の崩壊を恐れて許さない。
今や米国に次ぐ経済大国となった現代中国の多様さを教えてくれる力作だった。この国を統治する政治家の課題の複雑さには同情を禁じ得ないとも感じた。国が大き過ぎるためとも言えるが、国境線を交代させる国家指導者を許す国民は少ないだろう。マイノリティ文化は大いに保護されるべきだが、彼らに対する中国語教育が少数民族の子女の活躍の可能性を拡大する側面は否定できない。ともあれ、困難な生活条件の中で学ぶ子供たちの明るい未来を願うばかりである。
0 件のコメント:
コメントを投稿