2017年12月6日水曜日

「実感」はあてにならない

前例のないほどの金融緩和をすすめたアベノミクスは成功だったのか、そうでないのか。新聞各紙の世論調査ではアベノミクスに対する肯定的評価は最近になって否定的評価を多少とも上回るようになって来たようだ。公約の2%のインフレは実現しそうもないが景気の拡大はゆっくりとだが続き、失業率の低さは先進国の中で断トツと言ってよい。肯定的評価が高まったのはうなずける。

ところが一部の世論調査では相変わらず景気回復の「実感がない」との項目が高いパーセンテージを占めている。それを利用してとまでは言わないが政府も野党も消費税の2%増税の政党間合意を先延ばしすると選挙公約に掲げ、事態はその方向に向かいつつある。

今朝の朝日新聞のコラム『経済気象台』で、「穹」とのペンネームの筆者が「実感なき景気の拡大」と題して書いている。タイトルの与える印象とは逆に筆者は「日本経済は好調だ」とし、「景気は実感ではなく成長率などの客観的な指標で判断する必要がある」「実感に乏しいからといって、いつまでも財政赤字を続けているようでは、生まれてくる子どもたちに合わせる顔がない」と主張している。私も同感である。

私はこれまでのアベノミクスは評価できると考えている。しかし、実感などという客観性のない印象に基づきこれ以上財政緩和を続けて行って良いとは思わない。国民の実感と言っても多分にメディアに吹き込まれたものではないのか。安倍内閣は総選挙で絶対多数を得た今こそ、安易な人気取り政策と訣別すべきであり、さなければアベノミクスへの後世の評価は低いものになるだろう。

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