2014年8月14日木曜日

日露友好は双方の利益

ロシアが国後、択捉あたりで軍事演習をするというので新聞は上段トップ扱いである。それほど大きな扱いをする事態であろうか。他に大きなトピックが無かったからというのなら人騒がせである。 
演習が大規模であればあるほど計画はかなり前から立てられているはず。ウクライナ問題での対ロ制裁に日本が参加したことへの反発が原因とは言い切れない。予定された通常の演習かもしれない。

冷静に考えれば、日露間には北方領土問題を除けば大きな対立点はなく、逆に経済的には強い補完関係にある。シベリア開発を進めたいプーチン大統領が日本との関係悪化を望むはずがない。日本の対ロ制裁参加に対して彼が懸念を示し、「よく分からないのは、日本が( 領土 )交渉を中断するのかということだ」と語ったのを脅しであるかのように解説する報道もあったが、どうか自分を失望させないでくれとのプーチンの訴えと理解すべきである。欧米の農産物の輸入差し止めに日本産品を加えなかったことは明らかな意思表示ととれる。

ウラル以東のロシア( シベリア、極東 )では経済が停滞し、人口が減少している。他方、中国は経済は拡大し人口は十三億人を数える。しかもロシア極東地域の多くは嘗て清国の領土であった( ウラジオストークも)。中国がそれを忘れているはずもない。シベリア開発の遅れはプーチンにとり悪夢と言って良い。ロシアは今は米国の圧力に抵抗して中国との友好を誇示しているが、それを真に受けるのは愚かである。

安倍首相はソチ・オリンピックに西側大国でただ一人出席した。プーチンがそれに感謝していることは間違いない。彼は北方領土問題を「引き分け」とも「フィフティ・フィフティ」とも表現して解決を要請している。彼の本心が二島返還なのか三島返還なのか( 択捉島だけで面積は50%を超える)は分からない。楽観は出来ないが、彼が将来を見据えて北方領土問題にけりを付けたいことは疑いない。明らかなことはプーチンが退場すれば二島返還を決断する力と権威を持つ後継者は考えられないことである。米国は嘗て鳩山一郎内閣時代、日ソ領土交渉の二島返還での解決を、それなら沖縄を返さないと言って流産させた。それを繰り返させてはならない。日露友好は米国にも不利益ではなく、中国の台頭を考えればむしろ利益であることを日本はねばり強く説得しなければならない。

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