しかし、一難去った(?)プーチンの前にウクライナの政変という別の一難が現れた。政変を伝えるフランスのテレビ(F 2)は、反政府の怒れる若者たちを好意的に報じていたが、ことはそれほど単純だろうか。少なくともヤヌコビッチ元大統領は相対多数にもせよ、国民に選ばれた大統領であり、選挙もない国の独裁者と同列には論じられない。それを力で打倒することは長い目で見てどんな結果を生むだろうか。西側諸国のように一方の側に肩入れして、そうでなくとも脆弱なウクライナの統一を危うくすることが賢明な態度だろうか。
元大統領の「豪邸」が紹介されているが、元は公邸だったということなら、どこまでが私有化後の増改築なのかが分からないなら軽々に判断できない。元大統領が浪費家だったことは否めないが、彼の前任者たちとの違いが程度の差以上だったかは、これだけでは何とも言えない。
ウクライナの財政は既に破綻寸前だった。ロシアが新政権にこれまでのように世界標準の三分の二の価格で天然ガスを売るとは考えにくい。西側諸国も今は新政権を経済援助するだろうが、もともと余裕がある訳ではない。そのうちウクライナは厄介もの扱いされないであろうか。
もっと危険なことはウクライナの分裂である。クリミア半島はフルシチョフ時代にウクライナに突然譲渡された。その理由は今ひとつはっきりしないが、フルシチョフがソ連の崩壊によるウクライナの独立(とクリミア半島の喪失)を全く予想していなかったことは確かである。クリミア半島はロシアにとって百数十年来の軍事基地であり、住民の大多数はロシア人だという。そうした経緯を考えればロシアがクリミアを簡単に手放すとは思えず、西側諸国とロシアの関係の悪化は避けられない。たとえ部分的でも冷戦への逆戻りは御免蒙りたい。それは誰の利益にもならない。
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