2014年2月21日金曜日

国連の北朝鮮人権調査委の報告

国連の北朝鮮人権調査委員会の報告が北朝鮮政府を「人道に対する罪」を犯していると判定した。紛争中でもない平和時に、個人や集団ではなく一国の政府を「人道に対する罪」と判定し、しかも国際刑事裁判所に訴えるよう各国に促すとは前代未聞ではなかろうか。

一般論として私は人権侵害を理由として他国を非難したり、それを止めさせるためとして武力介入することに軽々に賛成したくない。とくに米国やフランスのように他国の人権問題に判定者面するのはいただけない。例えばシリア内戦に軍事介入して同国の政治が良くなる見通しがあるのだろうか。英国議会がシリア爆撃に待ったをかけたのは、これまでの同様の介入で自国兵の少なからぬ犠牲を出した挙句、感謝もされなかった経験にうんざりしていたという側面も否めない。だが、米仏両国の人権の母国意識や、それに基ずく人権重視誇示競争に付き合いきれないと英国議会が考えたことも大きいのではなかろうか。米仏両国はシリア政府の毒ガス使用が許せないと言うが、イラン-イラク戦争でフセインが長期に渡りもっと大規模に毒ガスを使用した(自国のクルド人にも)とき、両国は本気で反対しなかった。とてもその主張を額面通りに受け取れない。

とはいえ、現在の北朝鮮政治の状況は狂態という表現がふさわしい。私は人権調査委員会の報告に全面的に賛成である。これまで金王朝を陰に陽に支えてきた中国の責任は途方もなく重い。仮に過去を問わないとしても、二十一世紀の大国としての中国の道義的正当性が今後は問われるだろう。

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