昨12月2日夜、NHKテレビの「映像の世紀」で「毛沢東の革命と独裁」を見た。人物の評価とくに政治家の評価は浮き沈みが避けられないが、毛沢東ほど今に至るもその評価が本国で極端に変動する例も稀ではないか。延安の洞窟住居から天安門の壇上への彼の生涯の前半は英雄の生涯と見るのが戦後の一時期までの評価であり、スターリン独裁の暴露でソ連共産主義の理想視から解放された世界の左翼勢力にとっては新たな崇拝の対象となった。フランスの五月革命も我が国の大学紛争も毛沢東思想(造反有理)の理想視と無関係ではなかったろう。革命思想のレベルでも労働者階級を革命の担い手とするマルクス・レーニン主義に代わって毛沢東の「農村から都市を包囲する」思想は左翼の人々の心をつかんだ。日本でも中国革命の成功に影響され、共産党が「山村工作隊」を組織したが、彼我の地理的社会的条件は違いすぎたようだ。
今回の番組の新しさは毛沢東を崇拝する青年李鋭がやがて毛沢東の秘書を務めたのち、大躍進政策や文化革命に批判的になり苦難の後半生を記録した大部の日記をスタンフォード大学に託し、それに部分的に基づいている点にもある。いま現在も習近平による再度の毛沢東神格化が進んでいる。言論の自由を欠く限り歴史は繰り返すといことだろう。
追記 最近、安全重視のためか、ブログの開始面を呼び出す手間が複雑になり、手を焼いている。今後「もぐらのたわごと」が中断したりしても、当方の健康不全が理由ではありません。悪しからず。
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