コロナ禍で一時沈静化していた外国人の日本観光熱が復活し、観光地はどこも潤って喜んでいると思いきや、「過ぎたるは及ばざるが如し」で京都など迷惑しているとは聞いていた。今朝の朝日新聞の「声」欄に京都と共に信州馬籠、箱根、秋田、瀬戸内からの地元住民の困惑の声が寄せられている(京都は悲鳴!)。黒田前総裁のもと、日銀が採った低金利政策による円安の影響も大きいが、それだけなら今後の円高誘導で沈静化するだろうが、もっと本質的な日本の風土や文化への憧れが外国人を呼び寄せているとすれば、痛し痒しである。
その外人観光客の人気ナンバーワンの京都が日米戦争の末期に米空軍の爆撃目標だったことは知られており、それを阻止するため尽力したのは米国の美術史家のラングドン・ウォーナーと当初は伝えられた。米国では早く異論が出たようだが、我が国ではライシャワー大使の回想録『ライシャワー自伝』(1987)が、それは誤りであり日本文化を愛し京都を二度お訪れていたスチムソン陸軍長官が恩人だと知らせた。いずれにせよ、戦争がいかに人の心を狂わせるか痛感させられる。現在のオーバーツーリズムが各地に困難を生んでいることは困ったことだが、日本文化がそれにより広く世界に知られることの利点ははかり知れない。
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