発売されたばかりの月刊『文藝春秋』の新年特大号に佐藤優と池上彰の対談「ハマスとイスラエル 悪魔はどちらか」が載っており、さっそく図書館で読んだ(多摩市の読者第一号?)。 最初に池上が、共著もある佐藤優とはこれまで共鳴するテーマが多かったが、今回はそうでもないと読者に予防線を張っていた。しかし内容はそうでも無かった
池上はまず、イスラエル側は自国民の犠牲者数を最初は1400人と発表し、ついで1200人と訂正した(だから信用できるといいたい?)のに対し、 その十倍ほどのガザ側の犠牲者数は「ガザ保険省の発表」ではなく、「ハマスの発表」だと読者に注意する(だからそのまま信用はできないとでも?)。
また、池上がハマスの幹部はカタールで「セレブ生活」をおくるといえば佐藤優がその子供はインターナショナル・スクールに通学すると応ずる。さらに池上は「今のハマス幹部はかなり腐敗し」「恐怖政治をおこなっている」とまで語る(初期のハマス幹部は清廉だったとも強調)。他方、イスラエルの「内在的論理」を追求するとの佐藤は逆に「1997年のネタニヤフ」と「2023年のネタニヤフ」は「同一人物とはとても思えません」とイスラエル首相の変貌を指摘する。しかし、「近隣のイスラム諸国でスンニ派のハマスを支持しているのはシーア派のイランだけ」。「ハマス掃討はイラン以外は皆賛成」と断言する。
以上、細かい事実など私には判断できない。しかし「日本の報道の多くは情緒的すぎ」との佐藤の指摘は私も全く同感である。他方、イスラム研究者の飯山陽に親アラブと批判された(『イスラム教再考』扶桑新書 2021) 池上もハマスは別だと言いたいのだろうか?
1930年代にフランス最初のユダヤ人の首相となったレオン・ブルムは「キリストは隣人愛を説いたが、エホバは正義を望んだ」と語った(エホバ=ヤーヴェは旧約聖書の神)。ユダヤ人もアラブ人も砂漠の神の峻烈さを分かち持つということなのか。
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