メキシコとの国境の米国側にトランプ政権が建設中だった大がかりな鉄製の壁は民主党バイデン政権発足後は建設中止となっていたが、建設再開が決まったという。近づく大統領選挙を前に国民の不評に抗しきれなかった。
不運もあった。新しいバイデン政権はトランプ政権よりも不法入国者に甘いとの噂が広がり、越境者は大幅に増加していた。他方、とくに中米諸国は麻薬販売で力をつけたギャングたちが殺人を含む無法状態をつくっており、国外脱出は生命を守るためでもあった。メキシコはむしろ通り道でもあった。とはいえ、何十万人の不法入国を許せば近づく米国大統領選で民主党は甚だしい不利となる。背に腹は変えられなかった。
他方、ヨーロッパでもEU諸国へのアフリカ難民の大量流入は各国政治の右傾化をもたらしている。あまりの多人数や経済的動機の入国は御免だということだろう。中南米諸国は独立後200年、アフリカ諸国でも独立後数十年を経ているのに経済的に(時には政治的にも)自立できないとあれば、ヨーロッパ諸国も寛大ではいられなくなった。地球温暖化の責任を自覚する先進国側も経済援助以上は御免だというのが本音なのだろう。
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