先々週の土曜日、芦花公園で毎年今ごろ開かれる「蘆花忌」に十数年ぶりに出席した。以前は数十人が出席する行事だったが、「明治は遠くなりにけり」か、さすがに蘆花ファンも数少なくなり、今回の出席者は十数人だった。
今回の講演のテーマは『不如帰』。 新派?の劇としても大評判となり、姑にいじめられる浪子の「もう、二度と女なんぞに生まれはしない」とのセリフとともに超有名になったことは私も知っていた。しかし私も原作は読んでいないので耳学問のため出席したのである。
ところが、講演者の明治文学研究者の語るところでは、 当時は結核は本当におそろしい病気であったのであり( 現実の大山信子も間もなく死んだ)、夫婦仲を引き裂く行為はいじめとは言い切れないとのこと。さらに信子の継母の大山夫人捨松は、かつて津田梅子とともに明治最初の留学生だった山川捨松であり、米国で看護学を学んでいたとのこと。
かつて鹿鳴館の華とうたわれた山川捨松が『不如帰』での自分の描き方に立腹したのは無理もないが、芦花は彼女の三回目の抗議にようやく非を認めたという。人間の評価は本当に難しいということか。
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