2023年8月14日月曜日

革命の陥穽

 見終わってうっかり消去したので日付は不明だが、最近録画したNHKのダーク・ミステリーという番組の『美しき処刑人とフランス革命』を見た。衝撃だった。

 フランス革命がどういう経過を辿って過激化し、最後は自滅してナポレオン帝政に至ったかは高校の世界史の教科書や授業で誰でも知っている。本番組の特異さは王政時代から代々死刑執行人の家柄に生まれたサンソンが革命の深化とともに国王一家、穏健派(ジロンド派)、急進派(ジャコバン派)の人々を新しく考案された能率的な殺人機械のギロチンで次々と処刑するストーリーでありること。革命期の死刑執行人サンソンの名は私も知っていたが、彼がフランス革命の全過程で処刑の詳細な記録(日記?)を残していたとは知らなかった。 

 最初は穏健派が指導した革命が次第に急進化してジャコバン派のロベスピエールの独裁のもと昨日までの仲間さえギロチンのつゆと消えた。その間サンソンは犠牲者たちへの同情にさいなまれながらも忠実に仕事を続けた。

 番組を見終わってフランス革命とロシア革命(とソ連)の経過の著しい類似性にあらためて強く印象付けられた。どちらの場合も高い理想を掲げて出発したもののロベスピエールとスターリンの最悪の独裁に終わった。ストップをかけられなかったのは誰しも自分の身が可愛かったのだろう。無理もないと思うが、言論の自由や三権分立などの必要性はどれほど強調してもしたりない。

訂正  前回、 移民団地の中庭で羊が殺されたと書いたが、林氏の著書では中庭で殺されたのは鶏で、羊は地下室でした。

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