今朝の東京新聞の『本音のコラム』に師岡カリーマが、「エジプト人が怒る理由」と題する小文を書いている。怒る理由は二つ。一つ目は「クレオパトラを黒人として描いたネットフリックスの番組にエジプト人が猛反発」したこと。二つ目は「オランダの考古学博物館が西洋の黒人音楽家の創作の源として古代エジプトを紹介した(ように見える)こと」。
エジプトを含む地中海北岸のマグレブ諸国の住民は黒人では無くアラブ人であり、ましてクレオパトラはギリシア系で黒人ではない。また、黒人音楽家の創作の源として古代エジプトを挙げるのも特別なケースを除けば正しくない。それにしても猛反発を生んだのは「『黒人と一緒にするな』というエジプト人のレイシズム?、残念ながら全否定はできない」とカリーマも認める一方、「でもそうとも言い切れない」「その心情を『黒人差別』で片付けることはそこに自らの投影を見て目を逸らす、文化盗用確信犯の驕りともとれる」と弁明する。文意ははっきりしないが、人種差別は自分達だけではないとのヨーロッパ人の言い訳だと言いたいようだ。
それもあろう。しかし、書名は忘れたが昔に読んだ各国の教科書を比較紹介した本に、エジプト人は嘗て南隣のスーダン人を奴隷狩りの対象としたこと、しかしこの事実はアジア・アフリカ諸国の歴史教科書には全く言及がないと記されていた。レイシズムに洋の東西はなかったということだろう。
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