2023年6月26日月曜日

富士登山の思い出

  世界遺産に選ばれてから富士登山をする外国人も多いらしい。配達されたばかりの夕刊の『朝日』に来月山開きとなる富士登山について、「山開きへ 憂える弾丸登山」「泊まらず夜通し 高い高山病リスク」との見出しの記事が載っている。危険は避けるに越したことはないが、夜通し登山が主流で無くなることは難しいのでは。そもそも5合目より上の全ての山小屋の収容能力は乏しいし、頂上で御来光を迎えたい人が多いから。

 私が友人と富士登山をしたのは60年ほど前で、当時すでに富士スバルラインは開通しており、やはり夜間登山だった。登るにつれ酸素が希薄になり確かに相当苦しく、頂上火口の縁に着いた時には疲労は頂点に達していた。そのため御来光を拝んだのち2人ともそのまま寝込んでしまい、気がついたら友人のカメラが盗まれていた。未だそういう時代だった。下山路は須走口を選んだが、深い砂の道のため一歩で二歩分下りれるので楽だった。

 世の中には何度も富士登山する人がいるらしいが、火山灰の山で花も池塘も無く、私は再度登りたいとは思わなかった。私の町には今どき珍しい八百屋があり、主人はひたすら富士を写真に撮り別室に展示している。絵葉書にも加工している本格派だが、頂上の写真は皆無。 私見だが、やはり富士は下から仰ぐのがベストではないか。

2023年6月21日水曜日

教員の早期退職の原因

  教員採用試験の応募者が減少しているとは最近よく報じられているが、今日の朝日新聞によると退職する教員も増えつつあり、しかしも最近は精神疾患による退職が増加しているとのこと。事実ならば容易ならざる事態である。

 これまで教員死亡者の減少の理由はマスコミでは給与の低さと長時間労働に帰せられてきた。しかし、教員の超過時間労働のためだけに精神疾患に罹るとも思えないし、まして低収入のゆえにそうなるとは思えない。やはり主な理由は生徒(と親)への対応に悩んでのことではないだろうか。

 最近学校での生徒の人権の尊重が叫ばれている。しかし、小学校高学年から中学までの生徒はヤンチャな時期であり、自分を顧みても身勝手だった。彼らへの対応は容易ではあるまい。生徒指導に悩んで管理職に訴えても彼らも親から生徒の人権を持ち出されたくはない。こうして誰も頼りにならなければ精神疾患にもなろう。

 教員の超過時間労働は早急に改善すべきだが、私には低給与や長時間労働が精神疾患の主因とは思えない。

2023年6月15日木曜日

軍隊内のいじめ

  未だ18歳で自衛隊正式入隊前の候補生が射撃訓練中に指導教官役の隊員2名を射殺し、1名を負傷させた。射殺の理由は未だ明らかではない。殺すほど憎んだのなら何らかの恨みからの犯行なのだろうが、まだ3ヶ月にも満たない期間で殺人を決意させるほどの厳しい指導があったのだろうか。軍隊だから一般社会よりは厳しい指導だったにせよ.............。

  軍隊内の厳しい初年兵指導といえば戦前の日本軍(とくに陸軍だが海軍も)のそれがサディスティックと呼んでよいほど暴力的だったことは一般社会にも広く知られており、軍国少年だった私でもそれだけはごめん被りたいと思っていた。野間宏原作の日本映画『真空地帯』(1952年)はその実態を描いて有名になった。

 しかし、上官の命令が絶対的になりがちな軍隊内では日本陸軍ほどでないとしても暴力的指導ないしイジメが横行しがちである。1953年に8部門でアカデミー賞を得た米国映画『地上(ここ)より永遠に』(モンゴメリー・クリフト主演)のハワイの陸軍内でのイジメもひどいものだった。結末はもう詳しくは記憶しないが、日本軍の真珠湾攻撃により主役たちも死ぬ。恋人役のデボラ・カーがハワイを去る船上で万感の思いで聞くアロハオエ。私も好きな美しいメロディーが同時に心に突き刺さる悲しいメロディーであると初めて知った。

2023年6月11日日曜日

サウジアラビアの政治

  昨日の東京新聞のコラム『本音のコラム』に定期寄稿者の1人の師岡カリーマ氏がサウジアラビアの絶対的支配者のムハンマド皇太子への評価を試みている。

 同皇太子は以前に自分を批判した記者のカショギ氏の暗殺を命じたとして話題を呼んだ。イスタンブールのサウジアラビア領事館が凶行の現場となったと考えられ、陰惨な印象を与えた。そうしたムハンマド皇太子にカリーマが好意を持つはずがなかった。

 しかし、その後の皇太子について『本音のコラム』でカリーマは、同国の宇宙飛行士に女性を登用したこと、このたび国際的音楽フェスティバルの「サウンドストーム」を自国で開催させそこにヒジャブやアバヤで顔を隠さない女性が多数出席した事実を紹介する。カリーマはフェスティバル開催を「朗報だが」「たまたま強権的皇太子の意向にそうから」許されたのであり、「逆にもっと本質的な人権改革を求める声もいまだに抑圧の対象だ」と警戒を緩めない。

 騙されたくないとの彼女の気持ちは理解したい。しかし私はカショギ殺害の当時も、サウジで初めて女性の自動車運転が許可されたとも聞いていたので判断を保留していた。今回もたかが音楽フェスティバルの問題と見るべきだろうか?  私は東ドイツを始め東欧諸国のソ連圏離脱に際し、若者たちの西側風俗 (ジーンズやマクドナルドのハンバーグやロック音楽などなど)への渇望が小さくない役割を果たしたと感ずる。中近東でコーランの教義から離れることの困難(というより危険)を考えればムハンマド皇太子の今後を私は期待したい。wishful thinkingと言われても。

2023年6月8日木曜日

マイナンバーカード導入の混乱

  マイナンバーカードの導入をめぐって混乱が惹起されている。我が家は同カードをかなり以前に取得したが、紛失や悪用を恐れて運転免許証で済むことはそれで代用するので、利用は最小限にとどめている。

 そもそもAIの知識が乏しいので現在メディアで政府の失態と報道されている事柄の正確な理解もできない。しかし、我々高齢者の便不便にも配慮してほしいが、アジアでも中国や韓国では現金に代わるカード支払いは日本の比ではないと聞くと、将来必要な施策なら批判を恐れずに進めてほしいとも思う。

 現在のところ、デジタル担当相の河野太郎氏が不具合への批判を浴びている。私は河野氏を一部で期待されているほどの自民党の星だとは思わない。防衛相当時、(新潟県はともかく)山口県へのイージス・アショアの地上配備計画を性急に引っ込めて艦上配備に変更した事で、費用の面でも実現可能性の面でも混迷を生んでいる。ただ、マイナンバーカード導入問題に限れば、私は同情的である。新しい施策の導入には一定程度の混乱は避けて通れない。AI化に後れをとっては国益に反するとの信念があるなら、批判にたじろがないで欲しい。

2023年6月2日金曜日

日本女性の社会進出

  最近(だけでもないが)、政治の世界を先頭に我が国の各界の女性の進出度の低さが問題視されている。じじつ、先頃のG7のリーダーには女性が2人加わっていた事実は我々の目にも新鮮に映った。

 今朝の『読売』に「世界大学ランキング2023」に基づき世界の有名5大学の女子学生の比率が紹介されている。1 オクスフォード(男子52% 女子48%)  2 ハーバード(50% 50%)  3 ケンブリッジ(53% 47%)  4  スタンフォード(54% 46%)   5  マサチューセッツ工科大( 78% 22%)である。東京大学は今年初めて女子入学者の割合が20%を上回り、21.8%とのこと。我が国の女子入学者の割合が少ないことは明白だが、オクスフォード大とケンブリッジ大の場合、30前後のカレッジの総称であり、それぞれが数校の女子カレッジを含むことを指摘すべきである。比べるなら東京大学と最低限お茶の水女子大の合計の女子比率を比較すべきである。なお、記事は比率の低い理由として地方の女子の場合、保護者や地域の意向を挙げる。

 それにしても我が国の女性の社会進出 (とりわけ政治の)  が低いことは否めない。それでも日本の先進地域?のJR中央線の沿線では武蔵野市の女性市長に続き、今回の地方議会選で杉並区の区議は女性議員が多数となった。日本の原水爆禁止運動の発祥地の面目躍如というべきか。