2023年5月30日火曜日

首相官邸あれこれ

  岸田首相の秘書官を務める長男が首相公邸で親族と?  羽目を外して更迭された。実質罷免と言える。罷免に値するかどうかはともかく、なんとも軽い人柄で秘書官が適任とは思えない。たしか、2.26事件の凶行の場にもなった建物で、公的機能の大半は新しい官邸に引き継がれているが、一部は残っていたようだ。私はむろん公邸内部をみたことはない。  未だ官邸だった時代に中国人の若い同業者を乗せて都心案内のため官邸前を通ったことがある。あれがPrime Minister's Residenseだと説明したら、How small !と驚かれた。何でも巨大なものが好きな中国人には驚きだったのだろう。

 しかし、旧官邸が大きくないと言っても、外見では英国首相の官 邸( 住所名でDowning10とも呼ぶ)は一般の住居と見紛うばかりである(内部は広大とか)。留学時に学界の大先輩(恩師ではない)を官邸前に案内したことがある。見物は3度目ぐらいだったが初めて表札を読んだら大蔵大臣( first lord of treasury)となっている。そんな筈はないと思ったが、間違えたら先輩に失礼千万なので立番の警官に恥を忍んでPrime Minister's House ?と聞いたらYes Sirと返された。すると大先輩が、そういえば恩師のI先生に英国首相はむかし大蔵第一卿と呼ばれたと習ったとのこと。もっと早く思い出して欲しかった! なお現在はテロを恐れて官邸直前までは入れないようだ。昔をいまになすよしもがな.............。

訂正

 前々回に我が家のゴーヤーの調理を記したとき、 ゴマと鰹節と少量の酢も加えているとの家人の指摘があった。  訂正します。

2023年5月24日水曜日

広島サミットの評価は..........

  広島で開催されたG7サミットが終了した。秘話というほどではないが、その舞台裏の一端も明らかになってきた。メディアの世論調査によれば会議を主宰した岸田首相の評価も上昇気味らしいが、個人や政党にとってどうこうよりも被爆地広島に光が当たったことが何より喜ばしい。

 むろん全てが良かったと言うつもりはない。とりわけ原爆の全面禁止を訴えてきて人たちにとっては核兵器の戦争抑止効果を是認したと解せられる宣言は納得しがたいだろう。しかし私は日本人も人類全体も香港人の悲運を肝に銘じなければならないということを第一に考えたい。

 何よりも世界のリーダーたちが原爆資料館を視察したことを重視したい。百聞は一見にしかずの諺どうり、遺品や写真による見聞でも原爆の印象は強烈である。たった40分の視察という感想もあろうが、それでもオバマ大統領の10分と比べれば進歩である(10分とはいえ先例を作ったオバマ氏には感謝する)。 

 ゼレンスキー大統領の同時訪問はある意味でG7サミットの広島開催の意義から世界の関心を「ハイジャック」するものだった。広島訪問が、「勝利するまで戦う」との彼の決意が含む危険を彼に認識させただろうか?  そうであれば良いが.............。

2023年5月22日月曜日

ゴーヤー礼讃

  昨夜の『ポツンと一軒家』を今日録画で見た。今週の訪問先は嘗て百軒が住んだ山村だがダム建設のため現在は一軒のみ。それも定住はせず、仲間とのリクリエーション(猪狩り!)を中心に使われているというものだった。

 エピソード自体も面白かったが私が気になったのは途中で道を聞いた農家のキュウリ栽培だった。キュウリが真っ直ぐで表面がつるつるのものばかりとなって久しい。昔の曲がって粉を吹いたようなキュウリの方が私には美味しく感ぜられるが、単なる郷愁なのか。大量生産大量輸送のためにはキュウリは曲がってほしくないのだろうか。

 私はそもそも野菜があまり好きではないし、微妙な味の差が分からない。それでも最近の例外はゴーヤー。もともと沖縄原産なので我が家で食するようになって10年になったかどうか。醤油と砂糖で味付けされるだけでも好きになり、昨年は居間の日除けを兼ねて初めて庭に苗を植えた。たった一本だけなので量は期待していなかったが、最盛期には1日おきぐらいに収穫でき、大満足だった。そこで今年は欲張って2本植えた。皮算用では毎日一個収穫できることとなり、いくら好きでも対応できなくなるかも。そうなればご近所に配ればよいと考えている。しかし、好まれるかは分からない。

2023年5月21日日曜日

訂正

  前回、ヴェルレーヌの詩の鈴木信太郎訳を「都に雨の降るごとく わが心にも雨ぞ降る」と記したが、正しくは「我が心にも涙降る」。小生の記憶違い。私は知らなかったが堀口大学の訳「巷に雨の降るごとく 我が心にも涙降る」がやはり名訳として知られている由。 荷風の文中の訳と堀口大学訳の前後関係はわからないが、 荷風はフランス語が達者だった。

2023年5月19日金曜日

「花より雨に」

 昼食後、瞼が重くなり、1時間ほど昼寝した(ほとんど恒例)。 目覚めたら家人がその間激しい雨があったという。天気予報通りなので驚きはなかったが、いよいよ梅雨の季節になったのか。早すぎる気もするが、これも地球温暖化のせいなのか?

 高校時代の国語教科書に永井荷風の「花より雨に」という文章が載っていた。 4月から6月頃の同家の庭の変化を描いた文章で、その頃は荷風が大変な名文家であることは知らなかったが、快く読んだ記憶はある。その文章の中でフランスの詩人ヴェルレーヌの有名な詩の一節が「巷に雨の降るごとく、我が心にぞ涙降る.............」と訳されていた。もちろん私には初めて知る詩で、のちに鈴木信太郎氏の名訳「都に雨の降るごとく 我が心にも雨ぞ降る..........」で名詩全文を知った。

 私の知っている外国の詩など、唐詩を別にすればおそらく10詩を大きくは超えない。そもそも詩を翻訳で読んでどれだけ原詩を味わえたといえるのか私には分からない。しかし、100%でなくとも名訳者がいれば感動は伝わると信じたい。

2023年5月12日金曜日

水質改善をしたら...........

  昨日だったか、テレビで瀬戸内海の養殖中の海苔がクロダイ(チヌ)に食べられ大きな被害を蒙っていると知った。海苔は私も好物なので困ったことだと感じた。今朝の『毎日』に同じテーマの記事が載った。 クロダイの餌はフジツボが主だが、瀬戸内海の浄化が進んだためフジツボが減少し、困ったクロダイが養殖網の海苔を食してしまうのこと。

 素人考えでは、クロダイは色こそ違えタイそっくりなので商品として売れると考えた。しかし、味は劣らないのだが鮮度が落ちやすいので漁師は市場に出荷しないとのこと。

 わが国経済の高度成長期、 瀬戸内海の水質汚染が現地では大きな問題となっていた。私の高校時代の友人はその汚染源とされる水島工業地帯の大製鉄工場の技師だったので、本当に心苦しいと語っていた。ところが最近は水質浄化が進み、アサリなどの貝類が不作になったとメディアを通じて知っていたが、海苔までとは.............。

   冷凍技術の発達のおかげか、外国産とおぼしきカニの広告が再三再四新聞に載る時代に自国のクロダイを利用しないとは。やはり飽食の時代なのか。

2023年5月5日金曜日

子どもの幸不幸

  こどもの日にちなんでか、『朝日』の「天声人語」は芥川龍之介の短編小説『河童』の一節を紹介している。河童の世界では父親が母親のおなかの子どもに「生まれたいか」と聞き、「生まれたくない」との返事ならお産は取りやめとなる。続けて天声人語子は現代の日本を、「7人に1人の子どもが貧困に苦しむ。虐待があり、いじめがあり、若者の高い自殺率がある」と続ける。

 戦争を子どもとして経験した私からすれば、どうして現代の子どもの状況をそんなに暗く描くのかと言いたくなる。雑炊にかき卵が入っているのを喜んだ時代。私の入った防空壕が1トン爆弾で揺れ、家内は焼夷弾に逃げまどった(自宅全焼)時代。 虐待やいじめはいつの時代にもあった。中学時代の草野球の当初は布グローブも多かった。田舎でも弁当がふかし芋の生徒がいた。

 ただ、塾や習い事は習字とそろばん以外は例外だった時代、 私立中学入学のための勉強は稀だった時代と現代の子どもとどちらが幸せかと問われれば何とも言えない。韓国や中国、とくに前者の入試競争や入社競争に至っては少子化の一因ともいわれる(自殺率と少子化は密接な関係があるのでは?)。それでも、藩の重役の子と下級武士の子の将来の差に福沢諭吉が怒った時代と比べればやはり進歩なのだろう。今後とも子供にとっての機会均等をいっそう進めることに反対の余地はない。