2022年8月6日土曜日

ペロシ訪台の評価

  米国のペロシ下院議長の訪台に賛否両論が寄せられている。ここでは以前に本ブログで紹介した佐藤優氏の「外交の三つの体系」に照らして考えてみよう。

 先ず「価値の体系」を基準に考えるとペロン訪台は民主主義と強権の対立の一方に強力に肩入れしており、台湾政府は大いに歓迎している。私をはじめ日本国民の大多数も台湾が香港と同じ運命を辿ることは何としても避けたいと思っているだろう。

 次に「利益の体系」を基準に考えると台湾と中国との経済にとって緊張の激化はマイナス要因である。どちらにとってよりマイナスかは何ともいえないが、常識的には小国に不利だろう。

次に「力の体系」で考えると両国の軍事力の差は圧倒的である。その差はこれまでは顕在化しなかった。しかし今後中国はその差を世界に見せつけようとするだろう。

 米中両国はかつてソ連への強い警戒心から米国は台湾が中国の一部であると認め、中国は当面は現状を承認するということで国交を回復した。曖昧さは両国にとって好都合だった。しかし中国がこれだけ強国化した以上、曖昧さの維持には米国側の最大限の配慮が必要だった。しかしペロシ訪台は中国の体面への配慮を欠いた。 米国政府は内心では思慮を欠いたことをしてくれたと思っているだろう。



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