最近ヴィーガニズムとかヴィーガンという言葉が一部で使われ出したようだ(池上彰 佐藤優『漂流 日本左翼史1972〜2022』)。私もアニマルライト(動物の権利)が何を問題としているかは見当がついたが、数十年前に英国で生まれた完全菜食主義の名称は知らなかった。
菜食主義者といえば誰でもベジタリアンを思い浮かべるが、実はベジタリアンには、1) 鶏卵までは許される、2)乳製品までは許される、 3) およそ動物が関係したものは蜂蜜まで禁止といった段階分けがこれまであったという。ヴィーガンは最も徹底した菜食主義者の称。
愛玩動物への虐待は聞くだにおぞましい。しかし人類は家畜はもちろんのこと、野獣や野鳥の肉を食べ、その毛皮を利用してきた。そして遂に最近ドイツでオスのひよこを殺してはならないという法律が出来たという。養鶏のため生まれるひよこの半数はオスである。メスと肉質の違いがあるのか、これ迄はどの国でもオスは殺処分され、動物園の動物のエサに利用されるのがせいぜいだった。
ドイツの決定が他の諸国に追従されるかは分からないが、かなり根本的な問題を含む。ナチスが政権をとり多数の精神障害者を殺害した国だけに種の選別には特別に警戒的なのかもしれないが、私などジェノサイドを実践した国らしい徹底性を感じてしまう。事実、肉屋や実験動物を扱う研究所への襲撃が起こっているとか。 佐藤・池上の両氏が、かつての新左翼の視点に通ずるとヴィーガン的視点に一抹の危惧を感じているのも理解できる。合理主義だけで人間社会を裁断してはならないということだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿