安倍元首相の銃撃死以来、自民党議員と旧統一教会 (現世界平和統一家族連合)との密接な協力関係が次々と報じられている。ついには過去の民主党政権時代の幹部たちの名前まで紙上に現れたが、『世界日報』などへの寄稿程度で、自民党の深入りとは同列には論じられない。しかし野党政治家といえども一見中立的なメディアへの寄稿を求めらたら深く考えずに応じてしまうのは無理もない。今回の場合、相手は文化団体をよそおったフロント組織で、相手の警戒心を封じたのである。
フロント組織とは聞きなれない人が多いだろう。べつだん定義などないが、ある組織が本体への警戒心を解くために平和、民主、友愛など反対できない名の別組織を表に立てる時使う。起源は1930年代の左翼の人民戦線 (Popular Front, Front populaire )あたりか。しかし、その全盛時代は第二次世界大戦後で、ソ連の影響下に「平和」や「民主」を冠する文化組織 ( 音楽、演劇、科学などなど )が誕生し、世論を動かそうとした。大学生時代の私もそうした組織が主催するデモなどに参加したことはあるが、深入りはしなかった。私の性格もあるが、そのころ戦後シベリアに抑留された高杉一郎氏が執筆した『極光の陰に』を読んでいたので、ソ連共産主義が理想ではあり得ないと考えていたことが大きい。
フロント組織は無論左翼の専売特許でも何でもないことを統一教会の例が示している。それにしても新聞を中心とするメディアは、霊感商法で統一教会の正体が暴かれて以来今日までまったく同組織へ沈黙を守ってきたのは不可解である。戦前戦中に新興宗教が政府に弾圧された歴史から、戦後は宗教団体への干渉がタブー視されたためもあろうが、それにしてもメディアはオウム真理教に次いで第二の怠慢を犯したと言っては言い過ぎだろうか。無数の山上徹也が苦しんでいたろうに.............。3
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