昨日の『朝日』にレバノン政治の混迷が取り上げられていた。一年前の倉庫の大爆発からの一年間 、政治の空白を解決できていないという。同国は複雑な宗教人口比のためマロン派キリスト教、シーア派イスラム教、スンニ派イスラム教が大統領と国会議長と首相をそれぞれ分担する特異な政体であり、それが政治の不安定の一因となっている。しかし、中東政治の混迷はレバノンに限らない。
映画『アラビアのロレンス』に描かれているように、多年オスマン・トルコに支配されていたアラブ人は第一次大戦中にメッカの太守ハシム家のフセインとその息子ファイサルに率いられ英国の援助を得てトルコを駆逐した。しかし戦後の英国はこの地に独立を許さず、国際連盟からの委任統治領という形でハシム家の一族を各地の王位につけた。しかしフランスが英国の影響力のの独占に反対したため、シリアやレバノンはフランスの委任統治領となった(概略)。
第二次世界大戦後に独立国となった中東諸国のうち、イラクは軍事クーデターにより国王が殺され、アラビア半島はサウジ家に奪われ、ハシム家の王統はヨルダン王国だけとなった。しかし現在の中東で政治が安定しているのはヨルダン王国がほとんど唯一と言ってよい。むろん矛盾や困難を抱えてはいるだろうが、少なくとも内戦による荒廃はない。
君主国の場合、君主はいちおう正統性の護持者と看做される。それに対して非君主国の支配者はつねに自分の正統性が問われていると感じる。 じじつ国民はとりわけ選挙で選ばれたのではない支配者の正統性を信じない。君主制といっても千差万別で、打倒されて当然の場合もあろう。しかしそれに代わるものが無慈悲な軍人独裁や内戦ならどうか。現在のシリアを見るとどうしてもヨルダン王国と比較したくなる。
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