2021年7月31日土曜日

オリンピックの拡大にストップを!

  今回、NHKと民放のオリンピック番組を見ていて開催するスポーツ種目の多さに驚いている。他国の都市での開催では放映時間も限られるので、これほど競技種目が多くなっているとは知らなかった。何しろ柔道だけで目下のところ金メダル獲得数が9個とは驚きである。いくら日本発祥のスポーツとはいえ現在の柔道人口はフランスに劣ると聞くのに.............。柔道が初めて1964年の東京オリンピックの競技種目に採用されたろとき、種目は男子のみ4種だったのが、今回は男子7、女子7、  今回新しく追加された「混合」1と計15種目である。

 柔道は極端な例かも知れない。 だが、それを別にしても種目の増加は著しい。その結果、今回の競技者だけで1万人以上と聞く。もはや中小国が主催国になることは不可能に近い。それで良いのだろろうか。私はそう思わない。

 縮小することは何事によらず容易ではないが、テニス、ゴルフ、サッカーなど、オリンピック以上に権威も人気もある大会を持つスポーツから外すべきだし、3人制バスケットボールや7人制ラグビーなど普及度の高くない種目は除外すべきだと思う。次のパリ大会ではストリートダンスが正式種目になると聞く。野放図な拡大は全体を殺すかも知れない。

 1950年代末、英国の政治学者パーキンソンは、同国の植民地省( 海軍省?)の職員数は英帝国が縮小しているのに増加した事実から、「役人の数は仕事の量とは無関係に増え続ける」との「パーキンソンの法則」を発見した。組織というものは警戒を怠れば拡大をすることはスポーツ団体も例外であるまい。

2021年7月27日火曜日

母国に弓を引けるか?

  いつの間にか昼寝し、目覚めてテレビをつけたら卓球の伊藤美誠選手が試合をしている。昨夜の混合ダブルスの激闘の再映かと思ったら新しくシングルの試合を闘っていた。昨夜の疲労は残っていないのかと驚いた。相手は東アジア系の女性で、画面の国籍表示はPORとあった。はてどこの国かと迷ったが、試合の途中なのでアナウンサーも事新しく国名に言及しない。やっと終了してからポルトガルと判明した。

 卓球王国の中国を代表するプレーヤーになるのは至難であり、彼女はポルトガルの国籍を取って代表となったのだろう。その例は珍しくないようで、数年前、ドイツの卓球代表4人のうち3人が中国名だったことを覚えている。大坂なおみ選手のように元来二重国籍であれば日米どちらの国の代表となってもおかしくない。しかし日本人でメダルを目指して国籍を変えた者は、お笑い芸人の日本人がカンボジャ人として出場したことはあったが、他に知らない。同胞からは母国に弓を引くものとして冷たい目で見られるだろう。

 オリンピックに出場するため国籍を変えても非難には当たらない。そもそもオリンピックは個人間の闘いであって国家間の闘いではないのだから。しかし母国代表との対戦はありうる。そのとき日本人なら????。

 私を含めて日本人が卓球王国の中国に勝って国を挙げて祝っている( 今朝、テレビ三局が同時間に昨夜の試合を再映していた!)。これは国として強みなのか弱みなのか?

2021年7月26日月曜日

訂正

 昨年の12月7日の奥多摩訪問記のカヤックはカヌー・スラロームと訂正します。どう違うのかはわからないが、いまオリンピックで闘われているボート競技を見るとそう呼んでいるから!

2021年7月23日金曜日

オリンピック開会式直前の「不祥事」

  今朝の新聞各紙は東京五輪の開会式のディレクターを務める筈だった劇作家の小林賢太郎氏の大会組織委員会による解任を報じている。それによると解任理由は同氏が昔のお笑い芸人時代にホロコーストを「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」と言及したことらしい。

 私は小林氏の名は初耳だったので問題発言以外のことを知りたかったが、各紙は東京新聞以外はほとんど言及がない(『読売』は未見)。したがって『東京』の記事に依拠するしかないが、それによると「多才な小林氏は.........パントマイムやマジック、イラスト、映像などを駆使したステージで、パリやモナコなど海外公演も行った」とあり、開会式のディレクターには適任者のようだ。組織委員会が同氏をディレクターに選んだことはおかしくない。問題は若年のころの発言までは知らなかったことだが、国際問題化した以上、解任はやむを得ないだろう。しかし、オリパラ開催問題で政府を批判したいメディアの格好の餌食になったとの印象は否めない。

 『産経』(7.23)のコラム「産経抄」が紹介する文春新書の近現代史研究者の業績『超空気支配社会』によれば、「前回の東京五輪でも準備計画の変更が相次ぎ、組織委員会の無責任体質が批判の的になっていた」。「トラブルだらけの大会の評価は、後世の判断に任せればよい」との産経子の言葉が妥当なところではないか。

 サイモン・ウィーゼンタール・センターはユダヤ人の意向に弱い米国政府や新聞に影響力を持つ報道監視機関だが、過去に「女性アイドルグループの「欅坂46」の服装がナチスの制服に似ているとしてレコード会社に謝罪を求める(『毎日』同日)など米国の威光をカサにきる機関。私は同機関がイスラエル政府の東エルサレムやヨルダン川西岸の占領地に入植地を拡大する不法行動に抗議したと聞かない。ナチスの蛮行は「言語道断」だが、それを利用して他国に指図したがるのは有難くない。

2021年7月19日月曜日

君主政の効用?

 昨日の『朝日』にレバノン政治の混迷が取り上げられていた。一年前の倉庫の大爆発からの一年間 、政治の空白を解決できていないという。同国は複雑な宗教人口比のためマロン派キリスト教、シーア派イスラム教、スンニ派イスラム教が大統領と国会議長と首相をそれぞれ分担する特異な政体であり、それが政治の不安定の一因となっている。しかし、中東政治の混迷はレバノンに限らない。

 映画『アラビアのロレンス』に描かれているように、多年オスマン・トルコに支配されていたアラブ人は第一次大戦中にメッカの太守ハシム家のフセインとその息子ファイサルに率いられ英国の援助を得てトルコを駆逐した。しかし戦後の英国はこの地に独立を許さず、国際連盟からの委任統治領という形でハシム家の一族を各地の王位につけた。しかしフランスが英国の影響力のの独占に反対したため、シリアやレバノンはフランスの委任統治領となった(概略)。

 第二次世界大戦後に独立国となった中東諸国のうち、イラクは軍事クーデターにより国王が殺され、アラビア半島はサウジ家に奪われ、ハシム家の王統はヨルダン王国だけとなった。しかし現在の中東で政治が安定しているのはヨルダン王国がほとんど唯一と言ってよい。むろん矛盾や困難を抱えてはいるだろうが、少なくとも内戦による荒廃はない。

 君主国の場合、君主はいちおう正統性の護持者と看做される。それに対して非君主国の支配者はつねに自分の正統性が問われていると感じる。 じじつ国民はとりわけ選挙で選ばれたのではない支配者の正統性を信じない。君主制といっても千差万別で、打倒されて当然の場合もあろう。しかしそれに代わるものが無慈悲な軍人独裁や内戦ならどうか。現在のシリアを見るとどうしてもヨルダン王国と比較したくなる。

2021年7月14日水曜日

大谷翔平への期待

 今年の日本のプロ野球は阪神の佐藤輝明やスワローズの奥川恭伸ら新戦力の活躍が顕著なようだ。しかし、海の向こうの大谷翔平の活躍の前にどうしても影が薄くなってしまう。

 何しろ渡米前から投手と打者の二刀流を移籍条件とすることで話題を集めた。しかし、本場の米国でそれが通用するかには疑問もあり、身体の故障もあってすぐ大活躍とはいかなかった。しかし、今シーズンは未だ途中とはいえ、その借りを返して余りある活躍である。

 昨日のホームラン競争と今朝のオールスターゲームは日本に住む我々にも視聴しやすい時間に行われたので私も楽しんだ。前者は緒戦で敗れたのが意外だった。だがあまりに怪物扱いされるのがよいかどうか。ときには負けるのも人間的で悪くない( そこまで言うか! )。

 オールスターゲームも打撃は今ひとつだったが、投手として走者ゼロだったのは立派だった。それにしても1インニングだけで勝利投手とは......。バスケットボールやアメリカンフットボールに人気を奪われかけていたMLBが大谷の人気にどれほどあやかろうとしているかが窺われる。

 それにしても大谷の人気は「敵地でも恒例となりつつある『MVP』コール」(『毎日』7.14)にも窺われる。それには彼の人柄も大きいのだろう。投打の活躍の上に盗塁にも懸命な姿はまるで高校野球選手で、胸が熱くなる。彼の地のファンもその真剣さに打たれるのだろう。シーズン後半も大活躍してほしい。

2021年7月8日木曜日

アフガン女性に生まれる不運

  バイデン米大統領の公約だったアフガニスタンからの米軍の撤収が9割完了した( 『東京新聞』7月8日)。米国に協力して出兵したNATO軍兵士たちも同様だろう。いかに豊かな米国でも20年に及ぶ戦争に終止符を打ちたくなるのは当然である。しかし、タリバンとの協定なしの撤兵となれば、現アフガニスタン政権は半年も持たずに崩壊するだろう。これまで米軍に協力してきた通訳をはじめ多くのアフガン人がタリバンの報復を予期して出国援助を米国に要請している。米国が要請に応じなければ南ベトナムのボートピープル以上の悲劇となりかねない。

 外国軍がいつか去ることは善も悪も無い必然だろう。しかし、タリバンがすでに奪回した地方では男性に髭を義務付け、女性には一人の外出を禁ずる規制を発布した(同紙)。タリバンが女性の教育を禁じていることは周知の通り。 女性は無知のままが都合がよいということ。アフガニスタンで男女同権が実現するのはいつの事だろうか。その間、我々は目覚めた勇敢な女性にノーベル平和賞を授与するしかないのだろう。

2021年7月5日月曜日

訂正

  昨日のブログでギガ・ワーカーとしたのはギグ・ワーカーが正しいようだ。また、題名の「詩と現実」は「詩と真実」の誤り。意味は殆ど同じだが、ゲーテの訳書名を尊重して。読みもしないで題名だけ利用しては悪かったか⁈

2021年7月4日日曜日

中国の「詩と現実」

 今朝のNHKの『日曜討論』は、「徹底分析! 中国共産党創立百年」とのテーマで、各界の中国通が討論した。一方に中国批判派の阿古智子、藤原帰一の両東大教授が中国の人権問題や攻撃的外交を問題としたのに対し、他方に中国理解派?の宮本雄二元中国駐在大使を中心に現中国が経済のめざましい成長を達成したと評価する人たちがいた(台湾は曲折はあったが自由のうちに経済成長を果たしたが)。ともあれ、賛否両論代表を招いたNHKの方針には賛意を表したい。今回の天安門広場の式典に参加した若者たちの明るい表情が演技だったとは思わない(党の祭典だから彼らは党員だろうし、エリート候補だろうが)。

 同じNHKの『クローズアップ現代』(7月1日)は「自信を深める若者の’リアル’」と題してより丁寧に問題を取り上げていた。近年、中国から米国に留学した者たちのおよそ8割が相次いで帰国したとのこと。やはり彼らを受け入れる高給の就職先が増大したと言うことだろう。至るところにカメラのある監視社会も犯罪減少をもたらしている。

 しかし、格差社会では学歴の無い者はなかなか定職に就けず、ギガ・ワーカー(フードデリバリーなどインターネットで単発の仕事につく人)は2億人に達するという。つまり勝ち組と負け組がはっきり分かれるということ。そうなれば「中国の夢」や「中華民族の偉大な復興」といった愛国的スローガンに頼ることになる。自然に生まれる愛国心を否定しないが、為政者が愛国心を口にするとき、18世紀の英国の文学者のサミエル・ジョンソンの名言、「愛国心はならず者の最後の拠り所」との名言が思い出される。