2021年6月28日月曜日

栄光の「大長征」が産んだもの

 もう30年近く前、中国南部の雲南省を訪ねるツアーに参加した。北京よりもかなりの辺境の地である雲南省を優先した理由は、ツアーを企画した旅行社が、優れたツアー企画を選ぶ業界の賞を受賞したと紙上で読んだから。

 恥ずかしいトイレをはじめ戸惑うことの多いツアーだったが、長江の上流部の激流(虎跳峡)や少数民族(ナシ族)の住む麗江など楽しめた。長江の河岸に大きな太鼓に似た岩のある小村の太鼓鎮は中国の歴史を二度動かしたとガイドが言った。13世紀に蒙古軍が渡河して南宋を滅ぼし、20世紀に国民党軍に追われて共産党軍が、延安への1万キロの「大長征」の途中渡河した(毛沢東は不在とか)。

 今年は中国共産党の第一回党大会から百年になる。大会とは名ばかりの個人宅に集まった10人余りの集会から、14億の民に君臨する党への変化は当事者にとっては栄光の百年だろうが、死者数千万人と言われる性急な「大躍進政策」や文化革命の狂気に翻弄され現在も独裁下に自由を失った国民にとっては大災厄の百年であった。

 どんなに高い理想を掲げて出発しても、「絶対的権力は絶対的に腐敗する」。学生時代、毛沢東の『矛盾論』は多くの文系学生に争って読まれた。しょせん美辞麗句と分かった時には中国人には批判する自由はなかった。腐敗した国民党と清潔な共産党との対比は当時常識とされたが..........。

2021年6月26日土曜日

訂正

 書き写した紙片を処分したので確認はできない が、6月18日の難民入管法案廃案についてのブログで引用した『本音のコラム』の筆者をサヘルローズとしたのはおそらく師岡カリーマの誤り。似ているためのミスって。失礼な!

2021年6月25日金曜日

ウイルスとワクチンの競争

  とうとう東京オリンピックの初日(予定だが)まで1ヶ月を切ってしまった。そうなるとコロナワクチンの接種状況が気がかりで(私も家内も個人的には第二回の接種も済み)、夕方はテレビの前に座るのが日課のようになった。

 昨日現在、高齢者の全国接種率(第一回の)はようやく半数を超えたが、全国民のそれとなると19.5%だそうだ。これを案外早いと見るか、未だその程度かと見るかは人によるだろう。しかし、オリンピック開催ということならもどかしいと感ずる人が多いのではないか。あとは日本人の得意芸?の奮闘力がものを言うかどうかだろう。

 出場選手たちの願いを思いやれば私はオリンピックとパラリンピックの実施の可能性を直前まで追及することに反対ではない。しかし、観客数ひとつをとってもIOCの権限の前に主催国の意向は軽視されているとの印象を禁じ得ない。それが米国のテレビ局をはじめとする多数のスポンサーの意向だとすれば、どこかで根本的に再検討する必要がある。

 私自身は限られた種目だがスポーツ観戦を楽しむ方なので、オリンピックもパラリンピックが今後も続いてほしいと思う。しかし、巨大化が衰退の始まりにも通ずるのは恐竜だけではないだろう。商業化興業化にブレーキをかける契機となればコロナ禍もマイナスばかりではないかも。

2021年6月19日土曜日

野生動物との共存の難しさ

  札幌市内に熊が出現し、負傷者を残し射殺された。同市には複数の元教え子が住むが、同じ札幌でもかなり離れた場所のようだ。

 近年全国で熊や猿や鹿や猪が人里に出没して農作物を食い荒らし、その被害は相当深刻と聞く。『ポツンと一軒家』を見ていても、畑をフェンスで囲っている家をしばしば見る。相手も食料確保に必死だから本格的なフェンスでなければ効果はない。二度ほどテレビで人形の?狼(実物より大きく、他の動物が近づくと恐ろしげな叫び声をあげ、目が爛々と赤く輝く)を紹介していた。鹿も猿も一目散に逃げ出し痛快だったが、価格は半端ではないだろう。

 農作物への被害という点では同じだが、鹿の害のほうが樹木に害をなす点でよりしんこくかもしれない。積雪期の食糧に困った鹿は木々の樹皮を食べるので、食べられた木は養分を吸い上げられなくなるなり、枯れてしまう。日光の戦場ヶ原などあまりに被害が大きいので、鹿が食べそうな高さに厳重に鉢巻した木が多い。無論被害は日光だけではない。

 市町村も猟友会などに依頼して全国で年間十数万頭を駆除しているそうだが、頭数増はそれを上回るという。人口が減少している地方を助ける良い方法はないのか。ジビエ料理も人口に膾炙するようになり、じじつ長野県などでは観光客向けの「道の駅」などで鹿や熊の肉を見かける。しかし、それほど売れているようには見えない。人間と野生動物との共存は理想だが、現実は厳しい。

2021年6月18日金曜日

入管法廃案は賢明だったか?

  国会が16日に閉会し、外国人の収容や送還を見直す入管難民法改正案は野党の反対で廃案となる公算が大きくなったとのこと。私自身は法案を読んだこともなく、読んでも理解できるか自信はない。しかし、我が国の年間の難民受け入れ数が百人にも達しないなどと聞くと、恥ずかしいと思う。同時に、これだけ我が国も姿勢を改めなければと叫ばれているときに、今回の法案がメディアや野党の主張する様に通してはならぬほどのものかには疑問を感じていた。

  昨日 ( 6月17日 )の朝日新聞に元入管職員で入管問題を発信する市民団体の木下洋一氏は、「改正案には良い部分もあり『改悪』とまでは思っていなかった」「どんな人に焦点を当てるかによって、改正案も反対論も正しい」と語っている。同氏は、もっとも反対論の強い難民申請の回数制限について、「現状を見れば申請回数の制限は必要」と理解を示す一方、現在のように入管当局の裁量ではなく、司法など外部のチェックの仕組みを求める。

  東京新聞の『本音のコラム』(11月2日)でサヘルローズ氏は「日本は移民に対し冷酷というイメージが先行する。確かに改善の余地も必要も大いにあると同時に、私の周りのアラブ人が次々に国籍を取得しているのも事実」「正直、日本は外国人の帰化にそれほど消極的ではないという印象だ」と書いていた。

  私は今回の入管法改正案へのメディアや野党の反対が、内心は難民入国を制限したい政府自民党に利用されたのではないかと思いたくなる。突飛過ぎるだろうか。

2021年6月12日土曜日

ジョークを追放して何になる

   9ヶ月ぶりに北関東に一泊旅行を楽しんで帰宅し、図書館で毎日新聞 ( 6月11日 )に眼を通したら政治家の発言が掲載されていた。見出しは「1回目接種の細田氏『だいじょうぶだあ』」。安倍前首相も所属しいまや自民党の最大派閥を預かる細田博之氏が、第一回のコロナ・ワクチンを接種後に同派の会合で、ワクチンを「打ってみると、だいじょうぶだあ。 志村けんではないけどね。そういう気持ちになるんですよね」と語ったという。

 この記事の扱いは小さいとは言え、『毎日』はどういう意図でこの記事を載せたのだろうか。またまた政治家が不謹慎な発言をしたということなのか?  しかし細田氏はこのジョークで特定の個人や民族やジェンダーを揶揄したのではない。単にタレントの常套句を利用したに過ぎず、森喜朗氏の発言とは異なる。実は私自身もワクチン接種後、同様の安心感を抱いた(志村けんの常套句は知らなかったが)。政治家だからといってジョークを言ってはいけないのか。

 以前、米国研究家の猿谷要氏が新聞紙上で、米国の政治家は10分?の間にジョークの一つも言えなければ人気が出ないと書いていた。たかがジョークというなかれ。私はトランプ前大統領の政見には反対だったが、次に何か面白いことを言うのではないかとの期待もあった。我が国の政治家が国民とりわけ若者の関心外なのはユーモアに欠けていることが理由ではないか。

2021年6月8日火曜日

省力の時代

  我が家の朝食はほぼパン食であり、飲み物は家内はコーヒー、私は紅茶が主でときどきコーヒーである。紅茶はレモン一切れを添えるが、ときどきミルク入りとする。それが長年の習慣だったが歳のせいか世の変化につれ最近少しばかり変化した。

  家内も私もコーヒーに特別の好みはないのでインスタントもので不満はないが、最近は1回分に分包したコーヒー・ラテを飲むことも多い。他方、紅茶は最近はリプトンの「レモンティー・パウダー」( 50杯分) を利用している。その名に反してレモンを使用してないと書いてある。私の好みより少し酸味が強いが、面倒でない。最近はさらに1回分に分包されたミルク・ティーを使い始めた。

  以上すべて昔は無かった飲用方法である。 女性の社会進出も背後にあるのだろうが、時間の節約自体に問題はない (長い時間をかけて雰囲気まで楽しむ飲み方も否定しない)。むかしチャップリンの傑作『モダンタイムス』の中で主人公の労働者( チャップリン)に機械が無理矢理食物を口に当てがう場面があった。さすがに未だそういう機械は存在しないようだが、将来、病人などを対象に利用( 善用だが) されるかも知れない。それにつけても私は安楽死を早く認めてほしい!

訂正 前々回の影山清六氏は梶山静六氏の誤り。転換ミスと言いたいが.......。

2021年6月2日水曜日

ワクチン効果は予想以上?

   テレビや新聞によると前日の英国のコロナ禍による死者がゼロとのことで驚いた。これまで450万人が感染し、12万5千人が死亡した国のこととは思えない ( ちなみに我が国の感染者数は75万人、死者は1万3千人)。英国ほど劇的な減少ではないだろうが、パリでも久し振りにカフェやレストランの屋外席は営業可能となり、幸せそうな客の姿があった。米国ではラスベガスで規制が廃止されたとか。

  西欧諸国の感染者数や死者数が激減した理由はワクチン効果以外考えにくい。仄聞するところではこれらのワクチンはごく最近開発された技術によるものらしい。科学者たちには感謝あるのみ。最近問題になっている変異型ウイルスに対しても今のところ有効性が確認されているようだ。

  しかし、世界全体に目を向ければ楽観には程遠いようだ。南米、アフリカなど、ワクチン導入がこれからの国は少なくない。我が国自身、今日の数字ではワクチンの初回接種率は16.2%、2回目は僅か1.3%。  これでは当面は「人流」制限に頼らざるを得ない。ただ、西欧の例からは、国民の大半にワクチンが行き渡らなくても感染者数の大幅減少は期待できるようだ。我が国も同じなら、7月中の接種完了は無理としてもウイルス拡大のヤマは超える可能性はある。踏ん張ってほしい。