今日の朝日新聞 ( 夕刊 』の『惜別』欄に演芸作家の織田正吉氏の追悼記事が載っている。私は初めて聞くお名前だが、やすきよの漫才 ( 私もファンだった )の台本をはじめ多くの笑いの原作者であり、笑いの研究者としても第一人者だったという。
その氏の発言「真面目さに固執すると、何かのきっかけで一つの方向に押し流されやすい。多面的な見方をするためにも、ユーモア感覚を忘れてはいけない。戦前と戦後、両方を知る者だから余計にそう思う」には同感を禁じえなかった。昨今の民放テレビ番組では、おふざけもいい加減にしろと感じることも多いが、テンション民族とも言われた日本人の性格の改善に貢献するとも思う。
氏は88歳ということなので戦時は小学生だったことになり、まさに私と同世代である。以前 ( 11月18日) 、私は二世を生きたとブログに書いたが、こどもになにがわかるかとの批判もあろう。しかし同年の織田氏も「両方を知る」と言われる。当時の世相は子供にも分かるほど異常だったのである。
例えば、軍国主義の風潮は小学校にも及び、教師が生徒に張り手で罰するのは珍しくなかった( 私も二校で被害者だった)。兵役につくと新兵は下士官や古参兵の理不尽な私的制裁の餌食となることは当時誰でも知っていた。海軍も例外ではなく、行軍中「海軍精神注入棒」で叩かれた。
私は笑いを浴びて育った日本人があんな理不尽な暴力の時代に帰るとは思わない。織田氏の意見に全面賛成である。
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