2021年1月20日水曜日

第二次南北戦争?

  米国で何カ月にもわたりもめた次期大統領選出もようやく20日 (米国時間 )バイデン氏が無事就任して終わるだろう。トランプ支持派といえども四年後のトランプ復活を願うなら少なくとも暴力の再発は抑えるだろう。

  四年後にトランプが再選されるとは思わないが、バイデン政権の直面する諸課題も決して解決容易ではなかろう。ただ、先日行われたジョージア州の上院再選挙で民主党が連邦上院の多数派となったことで前途はかなり明るくなった。トランプ再登場があり得るとすればバイデン政権と議会の対立が泥沼化した時だろうから。

  トランプ政権の四年間は米国内の政治的対立を激化させた。しかし正確に言えばトランプは対立を顕在化させたというべきだろう。東京新聞の『本音のコラム』( 8月28日 )にフリージャーナリストの北丸雄二氏は「南北戦争というタブー」という短文を載せている。それによれば、「今これを『分断』と言いますが、思えば南北戦争での敗北以来、いわゆる南軍に象徴されるような人たちは雪辱を期してこの時を待っていた感さえある。分離は息を潜めていただけです」「まるで第二次南北戦争だね」とアメリカ人の友人に話すと「それは私たちにはタブーなの」との返事だった。

南北戦争での死者数は二つの世界大戦での米軍の死者の合計を上回ると聞く。その傷は未だに癒えていないということなのだろう。リンカーンは戦後の南部に寛大な扱いをめざした。しかし、その横死により、副大統領から昇格したアンドリュー・ジョンソンにはリンカーンのような権威はなく、北部の敵対心を抑えることはできなかった。

  しかし、米国南部の魂とも言うべきジョージア州で今回民主党が2議席を独占したことは、和解への道が開かれていることを示す明るい兆しである。新大統領の手腕に期待したい。


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