2020年9月25日金曜日

時代の歌

伝説的シャンソン歌手のジュリエット・グレコが亡くなった。戦後間もなく活動し始めたので、えっ、まだ存命だったのという感じで、じじつ93歳で死去という。代表作として新聞各紙には「枯葉」と「パリの空の下」が挙げられている。前者は私にはイヴ・モンタンの印象が強いが、戦後のシャンソンの最大の名作ではないか。他方、「パリの空の下」は『望郷』や『地の果てを行く』などで戦前の洋画界を風靡したジュリアン・デヴュヴィエ監督の戦後の第1作?として期待して見た。もう内容はすっかり忘れたが、シャンソンとして今でも時々耳にするし、女性歌手が歌っていた事は覚えている。良いシャンソンだと思う。

グレコはわが国でも人気だったようで、計22回も来日公演したという。シャンソンではないが、イージーリスニング界の名門ポール・モーリア楽団は、わが国での人気は本国以上だったようで、毎年のように来日公演し、モーリアはフランスを訪れた日本人たちに気楽に会ってくれたと聞く。フランス人と日本人 ( 少なくとも私の世代の ) の音楽の好みは相性が良いのかも ( 知ったかぶり!)。

昨日は歌謡曲歌手の守屋浩の訃報が新聞に載っていた。一世を風靡した歌手ではないし、若い人は初めて聞く名前だろう。それでも代表作「僕は泣いちっち」を記憶する人は少なくないだろう。恋人に東京に去られた地方人の若者の嘆きをうたった歌詞は妙に心にしみた。恋人に限らず、息子や娘を大都会に見送った親たちの心境も似たようなものだったろう。井沢八郎の「あゝ 上野駅」とともに我が国のある時代を良く表現した歌だと思う。それを忘れたくない。


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