今朝の『東京新聞』にパリ在住のフリージャーナリストの浅野素女女史の『柴犬 フランス歩記が載っている。同氏によるとフランスでは夏の2個月間のバカンスの他にも復活祭休暇など2ヶ月に一回は2週間程度の休暇が回ってくると言う。我が国とのあまりの違いにため息が出そうになる一方、それでフランスはやっていけるのかと他人事ながら心配になった。
私は復活祭に迷惑を被ったことがある。英国の大学の学期外れの時にパリの図書館通いを計画した。大学の家族寮を不在中又貸しをする例を学内の掲示板で見ていたので、それに倣って1ヶ月貸して、オンボロの愛車でパリを目指した(不安はあったが大陸で車が故障した場合、英仏海峡のフランスの港まで運んでくれる保険に入った)。
パリのホテルはオルレアン門近くの宿を直前に利用した英国人の友人が予約しておいてくれたが、数日で復活祭となり、1週間ほど部屋を開けろとホテル側が言う。困惑したが、これを機会に観光地を覗くのも悪くないと考えた。ステンドグラスの美しさで知られるシャルトルの大聖堂やモンサンミッシェルの大聖堂や、米国映画『ロンゲスト・デイ』で知られる大戦中の米軍のノルマンジー上陸作戦の地アロマンシュ(作戦名ではオマハ海岸)の広大な米軍墓地やロワール河沿いの古城群などを訪ねた。
それぞれに興味深かったが、パリを取り巻く「イールド・フランス」と呼ばれる大平原の彼方に見えるシャルトルの大聖堂が次第に大きくなる間、中世の巡礼者になった気がした。フランスも移民問題で揺れる国柄だが、少なくともフランスの歴史と伝統を尊重しない人には来てほしくないと思った(いつからフランス人になった!)。