2021年3月12日金曜日

後悔先に立たず

  朝日新聞の夕刊に今夕まで5回、「チェルノブイリを伝える」と題する連載が載り、その第一回は評論家の東浩紀氏による「ダーク・ツーリズムの光と影」と題されていた。チェルノブイリの廃墟前に記念グッズなど観光化の兆しを目にした東氏の造語のよし。

  現代におけるダーク・ツーリズムの代表にアウシュヴィッツ強制収容所をあげてもよかろう。しかし、ガス室まで備えた「絶滅収容所」が主流と言うわけでも無いようで、通常の収容所でも不衛生や食糧不足や労働加重でホロコーストは実行されたようだ。

  ところで第二次大戦でドイツに敗れる前のフランスの首相たち、軍総司令官、労組指導者、ファシスト呼ばわりされた団体の指導者など10人近いフランス人は敗戦後、ドイツ内の各地の強制収容所に抑留された。やがて戦況悪化に伴い、オーストリアの古城に集められた。彼らの待遇はドイツ時代もその後も囚人などと言うものではなかったらしい。なぜなのか。

  ナチスの人種理論ではフランス人はユダヤ人やスラブ人と異なり、ピラミッドの底辺ではなかったためか?  しかし、ブルム元首相はフランスで最初のユダヤ人総理だっことは誰でも知っていた。外交的配慮が理由だったのだろうか?  しかしフランスの元リーダーたちは米軍に救出されて初めてその生存が確認され、世界を驚かせたのである。

  彼らフランスの各界の元リーダーたちは古城で、反省をタップリ話し合ったことだろう。何しろナチスドイツが強大化に邁進したあいだ、彼らは政治的ライバルとの小さな違いを誇大視し、政争にふけったのである。そして天罰を被ったのである。


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