フランスでの世論調査では火災前そのままの再建案と前代に囚われない新しい様式を取り入れた案では55対44で昔のままの再建案が支持されたという。予想通りと言いたいが、私はむしろ新しい様式との声が半数近いのに驚きを禁じえなかった。我が国では考えられないのではないか。
現在までに提案されている改築案として、1) 焼け落ちた尖塔をガラス製にする 2)屋根全体をステンドグラス製とし夜間に光り輝く外観とする 3)屋上に花や木を植えた「緑の庭園」とし、そこからのパリの展望を楽しめるようにする の三案が番組で紹介されていた。まさかとは思うが.....。
フランス人の新し物好きは今始まったものではない。古くはエッフェル塔が芸術家たちの大反対にもかかわらず建設され、今ではパリの名所となっている ( 私も死ぬ前にもう一度見たい!)。30年以上前、ルーヴル美術館の入り口は国際コンペで中国人建築家のガラスのピラミッド案が採用された。それ以前は館内が複雑な上に案内表示が不備なためミレーの名画群など、私は二度目にはついに到達出来なかった。今では嘘のように便利になったが、外国人案の採用とともにミランス人の新しいもの好きを物語っている。
エッフェル塔が建ったのちも芸術家たちの不評は収まらず、小説家のモーパッサンは塔が目に入らぬという理由で塔内のレストランを利用したという。共産国時代のポーランドのワルシャワではソ連が寄贈したスターリン様式と呼ばれた武骨な「文化スポーツ宮殿」がそびえていたが、当時、現地の観光ガイドは「ワルシャワの最も眺めの良い場所は文化スポーツ宮殿だ。なぜなら文化スポーツ宮殿が目に入らないから」と客を笑わせた。モーパッサンの模倣かどうかは断定できないが、私はそれより30年以上前に『週間朝日』でワルシャワっ子のアネクドート ( 小話 )としてはじめて知った。30年後にも人口に膾炙していると知ってポーランド人のロシアに対する複雑な感情を再認識させられた。
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