2014年12月11日木曜日

米国の人種差別

米国で黒人が白人警官に殺される事件が相次いでいる。ケースごとに地域の実情は異なるようだが、結果として不審行動ないし不法行動中と見なされ、あっという間に殺された点は共通している。銃が簡単に手に入る米国では日本の警察官のような慎重な行動を求めることは実際的ではないだろう。だが、それにしても警官が簡単に発砲するとの印象は強い。黒人たちが憤るのも理解できる。オバマ大統領の立場はひときわ苦しい。

人種差別とりわけ黒人差別は米国の宿痾と言ってよかろう。独立宣言の「すべての人は平等に造られた」のすべての人に黒人( と女性 )は含まれなかった。「建国の父祖たち」にはジェファーソンら奴隷主が少なくなかった。例を挙げだしたらキリが無いが、民主主義を標榜して戦われた二つの世界大戦の時代でさえ人種差別状況は続いていた。真珠湾攻撃の飛行総隊長だった淵田美津雄の回想録によると、敗戦後、GHQに呼び出され尋問された際の相手の一人は真珠湾攻撃の体験者だったが、これだけ見事な作戦がジャップに出来るはずがない、ドイツ人が指揮したのだろうと当時考えられていたと語った。その何日かのち、黒人兵に都心のビルに連行された。最悪の場合も覚悟したが、着いた先は黒人兵専用のバーで、何故連れて来られたか分かるかと聞かれた。分からぬと答えたら、世界で一番真珠湾攻撃を喜んだのは米国の黒人だったと告げられ、歓待された!


法律は変えられても人の心は簡単ではない。それでも状況の改善は不可能ではあるまい。英国に留学していた1960年代の中ごろ、あの独特の帽子のロンドン警官にインド系英国人が初めて採用され、本人も誇りを感じていると新聞で読んだ。事件のあったミズーリ州ファーガソンの人口は黒人が三分の二を占めるのに警官は白人50人、黒人3人だった。対策の第一歩はこの比率を人口比でとは言わないとしても大幅に変えることだろう。容疑者と黒人同士であればもっと冷静に対応できるだろうし、黒人の高い失業率を僅かでも改善できる。対立感情を緩和することが何より重要だろう。

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