このたび新五千円札の図柄に選ばれた津田梅子について、私も通り一遍の知識は持っていたが、磯田道史氏の軽妙な司会で知られるNHKの『英雄たちの選択』の津田梅子篇(8月6日)を見て改めて彼女の努力の跡を知った。
6歳の彼女が明治の初年に山川捨松らと数人の女子留学生に選ばれ、11年間を米国で勉学に励んだこと。帰国後「女子英学塾」を開いて日本の女子教育に多大の貢献をしたことなどはよく知られている。私が新しく番組で知ったのは、彼女の父の津田仙も幕末の米国派遣留学生であったこと。帰国後の彼女が華族女学校の英語教師として勤めたことは知っていたが、その後の彼女が教育研修のため再び渡米し、米国の名門ブリンモア女子大で3年間生物学を研究し、指導教授と連名で生物学論文を発表していたこと。大学の研究者として残る道を断念して故国での教育者の道を選んだこと。帰国すれば米国での先端的研究を諦めることになると知りつつ日本での女子教育者の道を選んだ強い使命感に感じ入った。
そうした決断はおそらく彼女だけではなかったろう。初代の東京女子大学長を務めた新渡戸稲造博士も米国留学中に日米間の不平等条約批判の演説に熱心だった。そこに男女の違いはなかった。両者が五千円札の図柄に選ばれたのは偶然だろうが。
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