2024年6月28日金曜日

ヨーロッパの君主制の現在

  別に特記するほどのことではないが、天皇皇后ご夫妻の英国訪問に際し英王室はお二人に最大限の親しみを込めて応対された。 なにしろ明治以来、日本の皇室はイギリス王室を見習ってきた面が強いし、それを知る英王室も日本の皇室を弟分と見做して来ただろう。

 近代とりわけフランス革命以後、ヨーロッパでは君主制に疑問が投じられたが、その先頭に立ったフランス自身がその後2度の王政復活と二度のナポレオン帝政を経験した。他方、ヨーロッパ自身でも北欧3国やオランダ、ベルギーなど君主制を維持したし、スペインに至っては一度は共和国になったが、数十年後に王制を復活させた。21世紀の現在、ヨーロッパでは君主制の効用が見直されつつあると言っても過言ではない。古式ゆかしいパレードや儀式が国民に自国への誇りを掻き立てる面もあろう。

 これに対し米国大統領選でトランプとバイデンが、大統領選が始まったばかりなのにもう悪口を投げ合うさまは美しくない。しかし、今日の朝刊に中国の国防相が2人続いて解任され、国民に碌に説明もないと知ると、対立が国民に見える国、本人が国民に直接訴えれる国の良さは認めたい。のの

2024年6月21日金曜日

 都知事選の2人の有力候補

  政治資金規制法をめぐる対立にやっとケリがついたと思ったら、今度は都知事選がメディアの恰好のテーマとなっている。東京都の年間予算は国家予算の1割にもなるとかで、知事選の重要性もさることながら、国政の先行きを占うという点で今回はとくにメディアに注目されているようだ。

 候補者が今回は56人とか。ふざけるのもいい加減にしろと言いたくなるが、やたらに供託金を値上げして候補者数を減らすのも正解とは言い切れない。 

 国会議員選挙が首相を間接的に選ぶのに対し知事は直接に選ばれるため、これまでも職業政治家をおさえて作家やタレントが選ばれることが多い。その極端な例が青島幸男東京都知事と横山ノック大阪府知事だった。前者には「世界都市博」廃止という「功績」?があったが、後者にはその程度の「功績」もなかったと思う(私が大阪のニュースにうといせいか)。

 小池百合子氏と蓮舫氏、どちらが適任かは別とし、女性候補同士の対決となったのは時代を反映しているのだろう。

2024年6月16日日曜日

「政治改革2024」をどう評価するか  私見

 私の記憶では自民党国会議員の資金パーティーの参加費20万円の不透明処理から始まった今回の「政治改革」は曲折を経て、参加費5万円で間も無く決着となりそうだ。朝日新聞(6月15日)に、14日の参院特別委員会で与野党が指名した4名の参考人(すべて大学教員)の主張が掲載されている。立憲民主党と公明党推薦の2人の参考人がそれぞれ自民党由来の案に不十分であると批判的なのはわかる。しかし、自民推薦の飯尾潤氏が「政治資金パーティーをやめると、代わりの手段が出てくる.............。むしろ機会を設け、関係を明らかにすることで資金管理が可能になる」と肯定的。維新推薦の中北浩爾氏は「政治資金が浄財ではなく、汚いもののような前提で議論されていることを危惧している。献金やパーティへの出席は国民の政治参加の有力な手段」と一定の評価をしている。同感である。

 私は他の部分の評価には詳しくないが、これ迄の20万円の参加費の上限を5万円と4分の1にしたのはかなりの前進で評価に値すると思う。  メディアは政治への関心の低さから選挙で棄権する人たちの問題性の方をもっと取り上げてよい。

2024年6月14日金曜日

訂正

  前回のブログで1966年の6月にアロマンシュの米軍墓地を訪れたと書いたが、4月の誤り。文中の「国家資料館も国家図書館の誤り。国家資料館に通ったのはその10年ほどのちでした。

2024年6月9日日曜日

 私のオマハ海岸

  80年前の6月6日の米軍主体のノルマンジー上陸作戦を記念する式典に旧連合国の指導者たちが集まった。あらためてこの作戦の規模と戦闘の激しさを思い出し、厳粛な気持ちになった。

 1966年の6月、私はパリの国家文書館に日参するため安ホテルに泊まっていた。しかし、その年の復活祭のある数日間は先約の客に部屋を明け渡さなければならず、他のホテルに当たったがどこも断られ((復活祭休暇は旅行シーズンの始まり)、これを機会に地方を訪ねることにした。 シャルトル、オルレアン、モンサンミッシェルと泊まりを重ね、最後にノルマンジー上陸作戦の地アロマンシュを訪ねた。

 のちにミシュランガイドのノルマンジーの巻が詳しいと聞いたが、当時は英国で入手したポケット版のガイドブックに、作戦名のオマハ海岸はアロマンシュという町とあり、行けば分かるだろうと簡単に考えていた。しかしフランス人がオマハの呼称など尊重するはずもなく、大いに迷った。しかし、曲折はあったが、最後には見渡す限り白い十字架(ときどきユダヤ人のダビデの星)が並ぶ広大な米軍墓地に出た。

 なるほど上陸地点に選ばれる筈と思わせる広大な砂浜が広がり、それを見渡す小高い丘にあずまや風の展望所と米国旗の掲揚塔があった。この墓地の用地ははフランスから寄贈されたと聞く。戦後も何かと米国に楯突いたドゴール大統領も反対はしなかったようだ。 

 墓地では2組のアメリカ人家族を見かけたが、アジア人の私たちを見て怪訝な顔をした。当時は敵国人だった日本人としてちょっぴり居心地が悪かった。米国人としてはここはゲティスバーグにも比すべき聖地だろう。私は彼らに話しかける気にはならず、降り出した雨に追われて、まだ遠いパリに向けて車を発進させた。

2024年6月3日月曜日

石川雅規と和田毅

  昨日のプロ野球でのヤクルトの石川雅規投手の23年連続勝利がどの新聞でもトップ扱いとなっている。私が早くから彼に注目した発端は彼が青山学院大学出身だったから。その後は多くの同大学出身者がプロ野球で活躍するが、当時はそのこと自体が珍しくかった。しかも入団のころ(今日あらためて調べたら)身長も体重も私の学生時代とほとんど代わりなかったとは! ともかく豪速球投手とは正反対の彼が23年間プロ野球で活躍し続けたことは偉大といってもよく、頭が下がる。

 同じ昨日、同じく豪速球とは縁のないソフトバンクの和田毅投手が広島カープを相手に5回2安打、0点に抑えた。惜しくも勝利投手にはなれなかったが、彼もまた私が心中密かに?応援してきた小さな大投手である。石川より1歳下で2人は夏の甲子園大会で投げ合ったこともあるとか。高校卒でプロ入りして以来、今日まで軟投型で勝ちを重ねてきたのだろう。野球が体力勝負のスポーツでないことを示した彼と石川には是非とも野球の殿堂入りを遂げてほしい。