2023年11月25日土曜日

麻布台ヒルズへの道

  昨日の朝刊各紙に2ページを独占して麻布台ヒルズの広告が載っている。これまで日本一の高さだった大阪のあべのハルカスをしのぐ高層ビルと場違いの緑の草原?が注目されるのは当然かもしれない。

 建築主の森ビルの数年前に亡くなった森稔社長は大学の最初の2年間のクラスで同級だっだ。彼は当時は文学好きで、クラスが一年次と二年次に大学祭で上演した二つの劇の演出を担当した(私は前者では一言も発しない酒場の相客役。後者では祭り全体の執行部との連絡係だった!)。その後彼は家業の貸ビル業に従事し、アークヒルズ、六本木ヒルズなどの建築主となり、我々の同窓会は新築のヒルズ群(御殿山ヒルズやお台場のレジャースポット「ヴィーナス.フォート」なども)で開催されるのが通例となった。

 ヒルズ建築群が最初のアークヒルズから大きな話題を呼んだのは、その実現のため百戸以上の住宅群を納得づくで撤去すると云う驚くべき努力の結果だったからである。何処にそんなエネルギーがあるかと思わせる物静かな男で、同窓会でも決して話題の中心では無かった。私などは観光地としてのシンガポールの躍進を知って初めて「都市間競争」の存在に気づいたが彼は早くからそれを意識していたのだろう。先見の明とそれを実現する不屈の忍耐力を備えた稀有の男だった。今日の麻布台ヒルズの開場を見せたかった。

2023年11月19日日曜日

  駐米親善大使 大谷翔平!

  すでに今年度のア・リーグのホームラン王の栄誉を獲得していた大谷翔平が、今度は同リーグのMVPに選ばれた。 旧制中学以来の野球ファンの私にとってこれ以上の快挙は無い。全国の野球ファンも同感だろう。

 二つの栄誉で示された米国での大谷人気はむろん投打での数々の実績によるものだが、それだけでは無く野球少年がそのまま成人したような彼の競技への真剣な姿勢にもあろう。出塁したら盗塁したがる投手などこれまでに居ただろうか? と云うことは彼のシングルヒットや四球はしばしば二塁打の価値があると云うこと。彼の野球への真摯な態度は米国人ファンの目には、最近バスケットボールやフットボールの人気に苦戦していると聞く野球の伝道師のように映っているのではないか。

 他方、われわれ日本人はこれまで彼ほどの駐米親善大使を持ったことはないのでは? 来年度も好漢大いに活躍して日本人への好感度を高めてほしい。

2023年11月13日月曜日

あちら立てればこちら立たず

  徳冨蘆花の『自然と人生』の中で作者は自家の庭が「十坪に過ぎず」とたしか書いていた。語感としては狭いと言い訳しているようだが、明治時代の借家の庭としてどうなのだろうか。

 測ったことはないが、我が家の庭の面積も似たようなものだろう。広いのか狭いのか何とも言えないが、50年以上前の多摩市の規制では敷地面積に対して小さな家しか建てられなかった(のちに緩和)のでそうなった。 松竹映画『結婚します』で竹脇無我の自宅として一瞬利用されたが、映画の中では「母1人子1人の家」とされていた由!

 以前に書いたように、美観のため庭に夏蜜柑の木を植えたかったがすぐに入手できず、温州みかんに一年先を越された。おかげで最盛期にはみかんを買わずに済むほど恩恵に与ったが、去年を最後に枯れ、今年に完全除去した。すると夏蜜柑の木の存在がクローズアップされ、最初の希望が半世紀近く経って突如実現した。

 しかしこれまで蜜柑(と一口柚の木)が前の道路を歩く人の視線を遮ってきた恩恵も失われた。なにやら庭と道路が一つながりになった感じで、あわてて最近は全く使っていなかった車庫の前のサビだらけの鉄の鎖を復活して何とか格好をつけた。あちら立てればこちら立たずとはよく言ったものである。

2023年11月7日火曜日

ガザ住民をハイジャックしているハマス?

 今日の朝刊各紙が一斉にガザでの戦闘を大きく扱っていると思ったら開戦後1か月になるからのようだ。連日の戦闘報道に比べると各紙ともパレスチナ紛争の全体を論ずるように努めている。その中では一方の当事者のハマスを解説した『東京新聞』の「ハマスとは」との見出しの記事がいちばん本質をついているのでは。
 イスラエル以外は日本を含めて各国ともガザでの戦闘の少なくとも一時ストップを願っている。しかし、その第一歩ともなる可能性のある人質の解放をハマスは外国人に限っても拒んでいる。それは『東京新聞』の記事のように、「ハマスには住民の犠牲も宣伝戦の材料と捉える酷薄さがある」「人道危機に陥っているガザの現状も、ハマスにとっては『想定内』だろう」と捉えるべきなのではないか?  いわばハマスはガザ住民をハイジャクしているとも言える。最近のアラブ穏健派諸国のイスラエルとの国交正常化の動きに何としてもストップをかけたいのだろう。
 しかし、だからと言ってガザでのイスラエルの戦闘継続が同国のためになるかは別問題である。少なくともアラブ穏健派諸国も世論の動向には逆らえず、戦闘の続く限りイスラエルとの国交正常化は論外となるだろう。国民感情に流されないことの重要性はイスラエルにも当てはまるだろう。

2023年11月6日月曜日

旧友との永遠の別れ

  昨日、高校以来の友人の葬儀に出席した。本当は旧制中学以来の同期生なのだが、クラスも違ったし、彼はスポーツ(特にバレー)が得意。私は草野球以外のスポーツに関心がなく、当時の言葉で云う「ラジオ少年」(鉱石ラジオや鉄道模型を作って遊ぶ)だったので、ほとんど交渉がなかった。しかし、高校2年生の頃から同じ大学を目指していることを知り親しくなった。しかも大学入学後に私の関心が文学から歴史に変わり、結局同一学科に進学した。

 その後、私は大学院に進み彼は共同通信社に入社し、会う機会も乏しくなったが、教養課程時代のクラスの同窓会では何度も再会した。今年も8月ごろもう一人の高校同級生と三人で食事を共にしたばかりだった。その後、西洋史学科時代の登山仲間で集まろうと先月下旬に二度電話したが応答が無かった。ところが月末に警察から照会の電話があり、死去を知った。夫人は数年前に亡くなられていたので、御子息が不審に思うまで時間がかかったのだろう。

 葬儀は新横浜で盛大に営まれた。しかし私の住む多摩市とはJR横浜線の橋下経由でかなり距離が有り、老骨には結構大変だった。乗り物好きの私に生涯に一度は同線に乗せてやろうとの深謀と受けとめた!