これまでこのブログで取り上げたことがあったか確かでないが、日曜夜のテレビ朝日の『ポツンと一軒家』を毎回見ている。現在の「地方」について実にさまざまなことを教えてくれる番組である。
題名どおり山中の一軒家(まれに海辺も)をテレビ局員が訪ねるのだから当然ではあるが、何と我が国が山また山の国であるかを再認識させられる。祖先がそこに住み着いた理由に多少の違いがあっても基本的には平地で生活を営む土地が不足したからだろう。現在は一軒家でもかつては何軒もの集落だったケースも多い。戦後の日本経済が拡大するにつれ、平地に職を得ることが可能になって山中を離れたと考えられる。
現地までの道路は当然山道になるが、ほとんどの場合到達直前までアスファルト舗装されており、ガードレールの設置も珍しくない。自民党政権が選挙地盤である地方の要望に寛大であることが分かる。電気は必ず配電されているが水道は皆無で、沢の水を引いているか自家の井戸に依存している。現在は老人世帯でもかつては小学生して山道を徒歩で通学した。現在の足は基本的に自家の軽トラックである。かつてこのブログで普通車と軽自動車の税金の大きな差を嘆いたことを反省させられる。
毎週なので似たケースも少なくないが一昨夜は特異だった。享保年間に藩主の佐竹家が茨城から秋田に移封させられたとき、 移住を拒んだ家臣十三家族が山中に移住したとのこと。今は一軒家だが、244年年前に先祖が建てた家屋は茅葺の立派な造り( そのまま映画に利用できるとの解説役の林修の声)。 下山に踏み切れなかった理由も理解できる。今は高齢の嘗ての花嫁は、2人並んで歩けない狭い山道3キロを花嫁衣装で登り披露宴に出席したとのこと。今は一家は炭焼きと蒟蒻造りを生業とし、自家用に多種の野菜も作っている。
ほとんどのケースに共通するのは他人の助けを借りずに家の修理や生活用具の製作などを果たす器用さであり、そもそもそうでなければ生活できたかっただろう。また彼らはほとんど例外なく『ポツンと一軒家』を愛聴しており、いつか自分のところにもと密かな期待を抱いていた様子が窺える。彼らを励まして来たこの番組を是非とも続けてほしい。
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