2015年5月31日日曜日

不思議な国ベトナム

ベトナム戦争当時、「ベトナムに平和を!  市民連合 」(通称 ベ平連 )を作家の小田実らと結成し事務局長をつとめた吉川勇一氏が亡くなった。当時米国に支援された南ベトナム政権と闘う「南ベトナム解放戦線」を支持する声はわが国でも広汎だった。とくに米空軍による「北爆」に対しては日本でも多くの団体が反対声明を出した。私も創立メンバーの一人 (名目的だが )だった小団体も反対声明を出すことになったが、私は署名を断った。解放戦線の実体に疑問を禁じ得なかったからである。

1975年の南ベトナム「解放」後、解放戦線は急速に表舞台から姿を消し、戦争の真の目的は「民族統一」ではなく北ベトナムによる南の「社会主義化」だったことが明らかとなった。そしてそれに同調出来ない多数の南ベトナム人が「ボートピープル」となって南シナ海を漂流した。旧ベ平連の幹部たちはそうした事態に何の反応も示さなかった。組織としては解散していただろうが、個人としてでも反対を表明すればその知名度から新聞はともかく、事あれかしの週刊誌がほって置かなかっただろう。

中国の南シナ海進出に対してベトナムが米国とともに反対している。ベトナム戦争当時とは対立の構図は正反対となった。たまたま両国の利害が一致したこともあろうが、それだけではあるまい。統一後のベトナム政権は嘗てあれほど血を流して闘った米国ともフランスともその過去をことさらに問題化しない。よほど誇りの高い民族なのだろう。他人事ではなく日本も第二次大戦中のベトナム占領時代、米の大生産国の同国で大飢饉で多数の (百万人以上とも聞いた )住民の死者を出したが、同国が日本の責任を追求して非難したとは聞かない。

私は中国に対抗して我が国がベトナムと手を組むべしとは思わないが、同国への敬意は人並み以上に持っている。たとえ共産党の一党独裁の同国の現在の腐敗はかなりのものであり、「この国で、統一の時期や方法が正しかったのか、という議論がなされることはない」(中野亜里  大東文化大教授。『朝日』5月30日 )としても。

2015年5月25日月曜日

日本人好みの幕末の人物

朝日新聞の土曜特別ページbeの今回のランキングは「あなたの好きな幕末の人物」20人だった。

1位はやはり坂本龍馬だったが断トツではなかった。多士済々の時期だから止むを得ない。近年、龍馬は薩摩藩が利用した使い走り役だったとの説があった。全くの誤りではないのだろうが、藩の後ろ盾を持たない浪人として影響力に限度があったろうし、薩長同盟の誓詞に裏書きをしているなら矢張り大活躍したとするべきだろう。
2位の勝海舟は私には多少意外だった。幕末の貴重な人材だったことは疑いないが。江戸っ子らしい洒脱さも人気の理由かもしれない。
3位は西郷隆盛で、同志だった大久保利通の17位とは功績からすれば不釣り合いだが、人気とはそういうものなのか。二人とも使命のためには自分の生命など意に介さなかったのは立派であり、大久保は死後は借金しかなかったほど清廉だったという。しかし私は両者は他人の生命も意に介していなかったとの印象を禁じ得ない。4位の高杉晋作は痛快といえばこれほど痛快に短い人生を燃焼させた人も稀だろう。人気があるのも頷ける。ただ、「長州人の狂気」の後世への影響はプラス面ばかりではないと感ずる。
佐幕派から新撰組の土方歳三と沖田総司がそれぞれ6位と8位とに選ばれているのは、生き方のカッコ良さが受けるのだろう。土方を演じた俳優は少なくないが、私にはテレビドラマ「燃えよ剣」で見た栗塚旭が土方役者としては最高だった。
土方と沖田に挟まれる7位に吉田松陰が入っているのはテレビの影響か。彼のテロ肯定には私などついていけないが。
女性が篤姫 (9位 )と皇女和宮 (20位 )しか選ばれていないのは男性優位の時代の反映なのか。それとも未だ活躍の掘り起こしが進んでいないためか。

全体として納得のゆく選定と感ずるが、島津斉彬 (13位 )はもっと上位にきて良い人物だろう。今の時代はテレビドラマの主人公に選ばれないとベストテンに入れないのか!  それとも演ずる役者が好かれなかったからか (確か高橋英樹が演じたことがあったが、彼も年齢が年齢だし.........)。

2015年5月23日土曜日

米国の干渉は御免である

今朝の新聞は米国が「プーチン氏訪日 (を )危惧」しているとして「日本の対露外交に不信感」との見出しをつけている。それに対し小見出しで菅官房長官がロシアとの「政治対話継続」に対し「米に理解を求める」とある。

実は一部の新聞 (「読売」と「日経」)に安倍首相訪米時のオバマ大統領との会談で首相がロシアとの外交交渉再開 (プーチンの訪日を含むだろう)の意向を明らかにし、大統領が「慎重さ」を求めたと報道されていた。今回、国務省の役人が相次いで圧力をかけてきたのである。不愉快である。

西側諸国では既にメルケル独首相がロシアの戦争終結70周年行事の翌日同国を訪問しているのに、日本は岸田外相も訪露していない。米国はドイツにも慎重さを求めただろうか。それともメルケルがそれを無視して訪露したのだろうか。ドイツは前大戦でロシアに多大な被害を与えたから訪露もかまわないと言うなら日本はロシアとの間で平和条約をまだ締結していない。わが国はプーチン訪日を早期に実現すべきである。

日米同盟は日本だけがその恩恵を受けているのではない。まして日露の友好は中国への牽制効果という点で米国の利益でもある。安倍首相は対米配慮のあまり対露交渉を断念すべきではない。

米国が日米同盟の利益を捨ててまで日米関係を悪化させる可能性は少ないと私は考えるが、何事にも干渉したがる国柄ゆえその可能性はある。しかし、「G7の結束」はすでにアジア投資銀行へのヨーロッパ諸国や韓国の加盟で破られている。その件で唯一米国と同一歩調をとってきた我が国が結束を求められても従う義務はない。我が国の自主性を守るためなら尖閣列島を中国に奪われる危険を冒すのも、防衛費のGDP1%枠を放棄するのも止むを得ない。考え直すべきなのは日本ではなく米国である。

2015年5月22日金曜日

白鵬の「誤審発言」問題

今年の一月場所で白鵬と稀勢の里の相撲が物言い後とり直しとなり、白鵬が「子供でもわかる」誤審だと発言して問題視されたことは覚えておられよう。昨日の白鵬と豪栄道の取組も多少微妙だった。

結論から言えば、私は一月場所の稀勢の里戦のとり直しは不当だとは思わないが、昨日の白鵬が負けとの行司判定は物言いがついても良かったと思う。どちらのケースも勢いは圧倒的に白鵬の側にあったので彼は前者のとり直しが不満だったのだろう。観客から「もう一度コール」が起こったのも不満に火を注いだのだろう。しかし、比較にもならないが私自身遊び仲間と相撲を取り合った頃、一瞬でも先に足以外の体の何処かが地面につけば負けと信じていた。国技館相撲では勢いも考慮されると聞くが、やはり写真判定のできる体位をより重視すべきだろう。その点で一月場所でのとり直しは不当ではなかったと思うし、少なくとも「子供でも分かる」は言い過ぎだった。

他方、昨日の勝敗も微妙だったが、新聞二紙は白鵬の腕が先についたと言っているのでそうかも知れない。しかし白鵬は物言いを期待してしばらく立っていたというし、その後報道陣に無言を通したという。判定に不満だったのだろう。私は昨日は物言いがついてもおかしくなかったと思う。行司は即座にどちらかに軍配を挙げなければならない苦しい立場だが、審判役はゆっくり写真を見て判定できる立場であり、その結果は白鵬も納得せざるを得なかっただろう。

むかし大鵬が物言い再試合での誤審で45連勝がストップとなったとき、横綱が物言いを付けられる相撲を取ったのが悪いと答えたと一月にも回想された。双葉山の69連勝の記録を破るかと思われた時期だったので大鵬の態度の立派さが際立った。しかし、後年ある記者が本心から自分が悪いと思ったのかと聞いたら、そう思わなければいけないと思ったと答えたという。納得は行かなくとも不満を懸命に押し殺していたということだろう。やはり彼は心技兼ね備えた大横綱だった。白鵬には今からでも大鵬を見習って欲しい。大鵬の偉大さと人気は強さだけが理由ではなかったと銘記して欲しい。白鵬には未だそうなる時間があるはず。

2015年5月20日水曜日

またまた訂正

先ほどのブログのブラバントはトラバント (愛称トラビ )の誤り。私は古臭い箱型の同車が大好き。前々回の「二人の女性教授」の一人は若い女性フォトグラファーの誤り。5月3日のブログでウイリアム王子が自分で愛車を運転していたと書いたが、チャールズ皇太子も自分で運転していた。どちらも警護車らしい車が追尾していた。日本なら警護車が先導するだろうしその方が安全だが、それでは運転は楽しくないだろう。どちらが人間的か!?

冷戦末期の東欧

昨夜偶然チャンネルを回したNHK BSプレミアムで「世界街歩き」の東ベルリン篇を見た。アレグザンダー広場でのソーセージの立ち売り男 (一人で食材もガスタンクも全て 25キロを身につけて売り歩く )や書物の木 (太い並木に本を入れた窪みが幾つかうがってある 。言わば街角の無料図書館 )などを見ていたら、家内がこの番組見た事があるのではと言い出した。この頃のNHKは複数回放映が多い。しかし、民放もBS放送で矢鱈に旅行や名所紹介番組が多く、それらを見ていた可能性もある。結局、判然としないまま番組は終わった。

30年ほど前、東欧共産圏諸国をめぐるツアーに参加した。東ドイツ航空のチャーター機利用だったので (スチュワーデスたちを見た途端、その体格にここはドイツだと感じた!)往復とも東ベルリンのシェーネフェルト空港利用だった。ベルリンの壁やブランデンブルグ門や美術館などを案内された。昨夜見たベルリンの壁には強烈な色彩の絵がいっぱいに描かれていたが、当時は少なくとも壁の東独側にはそれはなく、西ベルリンはブランデンブルグ門から遠望しただけ。街を走る車の大部分は色とりどりの小型車ブラバント。大柄なドイツ人が後席に収まるか疑問の車でも当時入手するのに十年の貯金が必要だったとのことで、今回インタビューされた婦人は展示車を見て懐かしいと言ったが、本心なのかユーモアなのかはわからなかった。

東欧共産圏諸国は、その政治はともかく他の面では西側の影響を受け始めていた。ブタペストで泊まった最新の?「アトリウム・ハイアット・ホテル」の駐車場にスーパーカーが並んでいたので驚いたが、ハンガリー初のF 1グランプリレース開催とかち合ったためだった。共産圏諸国と一括りされていたが国境の出入国検査は厳しく、相互関係は必ずしも友好的ではないとの印象だった。

なにしろ大手旅行社はまだ東欧旅行を手がけていない頃だったので、現地で他の日本人グループと会うことも全く無く、ポーランドからチェコスロバキアへの夜行列車は寝台車の手配漏れで普通車の座席で苦しかった。それでも、アウシュビッツ収容所を訪れるので参加したという若者も居て、最近のツアーより雰囲気は良かった。何よりヨーロッパの歴史にどっぷり漬かった旅ではあった。

2015年5月17日日曜日

日本的な、あまりに日本的な?

日曜午前のTBSの「サンデーモーニング」(司会 関口宏 )は前週のニュースの総括番組なのでよく見ていたが、最近は野党的見解の仲間を集めた自己満足的番組のきらいがあって (たまに出席する大宅映子氏は別 ) 、見たり見なかったりだった。今朝は安保法制がテーマだったからか森山敏元防衛大臣が出席したが、番組の雰囲気はたった一人の出席者の変更で一変していた。

森本氏は野田内閣の防衛相だったが、今朝は新安保法制の説明 (と弁護 )に徹していた。ところが、日頃は野党的見解を述べる二人の女性大学教授も法案の慎重審議は求めたが、正面からの批判は避けていると私は感じた。森本氏も時には安倍首相の弁護に窮したのか、あやふやとも取れる弁解をしていたので批判を展開する好機もあったのに論争に発展しなかった。下手に批判をして森本氏に本気で反論されたら恥をかくと警戒したともとれる。

しかし、論争にならなかった一番の理由はとっぴかもしれないが「和をもって貴しとなす」との日本的心性 (その場の雰囲気を壊さない )が勝ったからではなかろうか。フランスのテレビ討論番組を見たことがあるが日本とは全く違った雰囲気で、いかに自分の発言時間を確保するかの壮絶な競争だった。ともあれ日頃の楽しい語らいの雰囲気ではニコニコしている司会の関口宏が終始渋面を崩さなかったのが印象的だった。

今朝の森本氏の番組出席が政府自民党の意向を忖度したテレビ局の配慮だった可能性もあったのではないか?  何の根拠もないし、森本氏が新法制の説明の適任者で無いとは誰もいうまいが........。