韓国の朴大統領が憲法裁判所により大統領罷免を宣告された。もはや元首で無くなった朴氏は一介の市民として過去の「違法行為」を罰せられる可能性が生じたという。しかし彼女の犯した「罪」は大統領罷免に値するほど重大な罪だったろうか。米国のニクソン元大統領はウォーターゲート事件で大統領辞任に追い込まれたが、側近たちが実行した盗聴事件の隠蔽を企てるなどその罪は重かった ( 信じてはならない人を信じる罪を犯した朴氏とは違う ) 。それでも米国民は辞職以上の責任追及をしなかった。現在の韓国大統領は軍事クーデターで就任した大統領ではない。「国民の選んだ大統領がことごとく国民の罵声を浴びる末路をたどるのはどういうわけか」との「余録」の言葉( 『毎日』3月11日) に同感を禁じ得ない。大統領の非を責めるなら選んだ自分たちの不明も恥じるのが道理ではなかろうか。民主主義の勝利などと祝っているときだろうか?
2017年3月11日土曜日
国家元首を刑罰の対象にすべきか?
「天皇ハ神聖ニシテ侵スへカラス」。 この明治憲法第3条を私は神政的天皇制を文章化した条文とひたすら理解していた。後になってこの条文が「君主無答責の原則」(君主は法的責任を問われないの意 ) を意味し、外国の憲法にも同種の条文は稀ではなかったと知った ( 成文憲法のない英国では「王は悪をなさず」(King can do no wrong )との憲政上の慣習 ) 。この原則は共和制国家が増加すると「元首無答責の原則」に形を変えたようだ。現在のフランス国憲法 ( 第五共和制憲法 ) は「大統領は反逆罪の場合を除き、その職務の遂行中に行なった行為について責任を負わない」(68条)と規定している。法の前の万人の平等を世界に先駆けて宣言したフランスがである。国家元首とはそれほど重い職であろう。
2017年3月7日火曜日
森友学園問題と首相夫人
大阪の森友学園の問題は国有地払い下げ問題と首相夫人の行動の妥当性に一応分けて考えることができる ( 昭恵夫人が払い下げ問題に直接関与したとの疑惑はこれまでのところ無いので )。
国有地の払い下げ問題は日を追うほどに醜悪な様相を呈している。共産党の小池議員により与党政治家の暗躍が指摘された途端に鴻池参院議員が記者会見を開いて現金を投げ返したと影響力行使を否定したのがあまりにわざとらしく見え透いていると思ったら、やはり同氏への学園側の働きかけが25回?に及ぶとそのしつこさを議員の秘書までが揶揄していた。幼稚園児に教育勅語を教え込ませたり安倍首相を褒めさせたりの異常さを含めて、学園長の籠池理事長の教育者失格ぶりがさらけ出された。払い下げ問題の疑惑は徹底的に追求されてよい。
他方、首相夫人の学園との関わりは少なくとも軽率の批判を免れない。これまでの夫人は夫の政治姿勢に一見反する行動 ( 反原発候補支持、防潮堤批判、大麻栽培是認など ) を示してきた。それが「家庭内野党」とメディアで揶揄 ( 評価?)されていたが、あるノンフィクション作家によると ( 石井妙子「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」 『文芸春秋』3月号 ) 、それほど深く考えた末の行動ではなかったようだ。それが今回明らかになったようだが同情すべき点もある。石井氏によると、秘書無しだった橋本元首相夫人は何の仕事もしないで首相夫人で居ることが申し訳ないと感じたとのこと。昭恵夫人の場合、理由は知らないが5人も秘書を付けられ、子供のない夫人としては何かしないと申し訳ない気持ちになったとしても無理はない。
近頃、テレビなどのメディアに対する政権側の規制強化を危惧する声が高いが、今朝の『東京新聞』は今回の事態でそれが必ずしも効果があるとは言えないことが示されたとしている。テレビ局にとって政権の反発への恐れよりも番組の高視聴率の誘惑には勝てなかったのである。それはまたそれで深刻な問題だとも言えそうだが..............。
P.S. 前々回に知床半島の露天風呂のことを書いたが、カムイワツカの湯滝のようだ。遊覧船から見える海際のカムイワツカの滝ではなく、逆に山側に10分あまり登ったところにある。夏季にはウトロからバスが出るとか。水着着用可というのは無しでも良いということか?持参した方が安全だろう!
2017年3月2日木曜日
貿易摩擦と「安全基準」
選挙中、日本の自動車産業叩きを口にしていたトランプ大統領はこのところ鳴りを潜めている。しかし、そのうち問題が再燃する可能性は小さくあるまい。
すでに指摘されているように、日本車が米国で大量に購入されているのに日本で米国車がほとんど売れない理由は、後者が大きくて燃費が悪いのが主な理由である。日本の道路事情に適した米国製小型車をわざわざ設計しても大量に売れる見込みはないし、小型車は一台あたりの利益率が低いから米国の三大メーカーは本気になれない。いわば自業自得でもある。
しかし、多くは誤解に基づくとは言え、米国の感情的苛立ちはまったく根拠がないわけではない。日本の軽自動車の税金は最近1.5倍ぐらい引き上げられたとはいえ、まだ低いし、その軽自動車が車種別売上ベストテンの6車を占めるのである。普通車の自動車税は米国 ( ナンバープレート税?)の何倍もすると聞く。多年、自動車イコール贅沢品ととらえてきた日本の役所の感覚の名残りは米国人には理解不能だろう。
新聞 ( 『朝日』3月2日 )に、トランプ氏とロス商務長官が日本の食品安全基準について、「 ( 食品が ) 清潔でないと送り返されている」「我々も同じやり方をすると伝えるべきだ」「制裁措置と言わずに米国の安全のためと言えばいい」と電話で会談していたことが米国のネットメディアから明らかになったとの記事が載っている。知日派と報ぜられたロス氏にしてこの事実である。
我々日本人も、韓国と中国が放射能を理由に日本産の水産物の輸入を今も禁止していると聞けば不快感を持たずにはいられない。しかし、かつて日本が狂牛病 ( BSE )を理由に牛肉輸入に国際基準とかけ離れた安全基準を設定していたことも事実である。安全重視は大事だが、安全基準が官僚の業界保護や閉鎖性の隠れみのにされやすいことも事実である。
2017年2月28日火曜日
米国アカデミー賞考
米国アカデミー賞の受賞が決定した。前評判が高かった『ラ・ラ・ランド』ではなく、黒人の監督や俳優たちが作った『ムーンライト』が作品賞を受賞したことは御存知の通り。イラン映画『セールスマン』が外国語映画賞に選ばれたことと共に、ハリウッドの反トランプ気分を反映していると各紙が指摘していることは事実だろう。
そもそもハリウッド映画の有名俳優や有名監督は昔から外国出身者が多いし、今年は二年続けて全員白人俳優がノミネートされ人種差別と批判された翌年である。たまたま数十年ぶりに目にした『キネマ旬報』( 読みたい新聞がすぐに読めなかったため ) の恒例の?受賞予想座談会では『ラ・ラ・ランド』が断然第一候補だが、『ムーンライト』が次の候補に挙げられていた。それでもハリウッドの変わり身の早さにはやはりという感想は禁じ得なかったが。
『セールスマン』が外国語映画賞をとり、イラン人監督がトランプに抗議して表彰式に出席しなかった事実もハリウッドの反トランプ気分の一環とメディアで紹介されている。しかし、偶然カーラジオで赤江アナの「たまむすび」を耳にしたら、この作品はイスラム教そのものでなくともイスラム教国の女性差別の非人間性をテーマにした映画でもあると批評家 が語っていた。真実はもう少し複雑なようだ。
わが国のアニメ映画『レッドタートル』が賞に選ばれず、ディズニーの『ズートピア』が代わりに選ばれたのは日本人として残念だが、我が家としては長男が『アナ雪』についで二度目のオスカー像を ( 今回は監督自身から ) 抱かせてもらったのは喜ばしかった。考えてみればこれもハリウッドが外国人を差別しないお蔭かも ( やはりトランプはまちがっている??)。
P.S. 前回の「野天湯へGo」は数年前の番組の再放送で、山田べにこ氏はすでに引退し、家庭の人となっている由。
2017年2月26日日曜日
温泉探訪番組
放送のテーマに困ってか、テレビで温泉地探訪番組をよく放映している。実際には温泉そのものより地元の料理を食する場面が多かったりするので、ときどき見るだけ ( 料理が不味いと言った出演タレントを一度でも見たことがない。これがヤラセでなくて何がヤラセか!)。
今夕、たまたまチャンネルを回していたらBS日テレで「野天湯へGo」という番組が途中から目に入った ( 5.00~5.30 。今晩11.00~11.30も )。今回が第一回らしく今後も日曜に放映されるらしいが、出演者が山田べにこという温泉ファン ( というより狂というべき )で、久しぶりの再会?だった。
3年ぐらい前か、やはり温泉番組で彼女を見かけたが、山道をさんざん歩いた末の温泉 ( 湯小屋すらなく、野天湯が確かにふさわしい ) に入浴する熱意に驚いたことがあった。大変感じの良い女性だったので ( 見ればわかる!)、こうした番組の常連になるのではと予想したが、その後見かけなかった。
今回も奥鬼怒の川俣温泉から山道を数キロ歩いた谷川のほとりで、ろくに訪問者もないらしく、丸太を渡した橋が三箇所も流され靴を脱いで徒渉するしかなく、4時間ほどかかったという。しかも今回は撮影チームと同行だが、彼女にはここでの入浴は初めてではなかった。一人でも腰まで浸かるのがやっとという狭さ、浅さでもめげないその執念には驚くばかり。
私も若いころ知床半島で数人が入れる滝壺全体が適温の湯船という入浴経験はあるが ( 現在は自由な入浴はできないらしい ) 、難行苦行してまでの入浴は望まない。せいぜい温泉番組を見せてもらうとする。
PS 前回、中国の有料道路料金が日本より高額としたが、マイカーと大型トラックの違いを忘れていました。日本の方が高いようです。
2017年2月24日金曜日
激走トラックの行方
2月18日にNHKで放映された「BS1 スペシアル 爆走風塵 中国 激変するトラック業界」を録画で見た。BS1 スペシアルとは地上波テレビの「NHKスペシャル」のBS版ということか。地上波版はときに軽薄な取り上げ方のものもあるが、概して啓発されることの多い番組ではある。
中国の急速な経済発展は同国の新幹線網があっという間に日本のそれを大きく凌駕した事実からも理解していたが、それに劣らず急激な有料高速道路網の建設が全国を網の目のように覆った事実は始めて知った。そして個人でローンで購入した大型トラックやトレーラーで物流を担う運転手たちが3000万人 ( 人口の5%近い?) に達するということも。国土の広さを考慮しても10年間に2倍の台数に増加とは驚きである。
番組はベテラン2人組、親子2人組、妻と幼児を乗せた新米ドライバー一家の三組のトラック運転手チームの生活を丹念に追う。一時は収入の良かったトラック業界だが、最近は燃料費高騰、競争激化、事故多発、ローン返済の四重苦?に追い詰められる運転手たち。かつて一台で請け負った仕事を十台で奪い合う。有料道路の料金も無計画な拡張のため日本より高額だった。
かと言って多額のローン返済を考えれば元の職業への復帰もできない。豊かになりたいとの人びとの願いに応えた急激な市場経済化の生んだ難問は、それに翻弄される国民にとっては勿論だが、中国政府の困難にも同情を禁じ得ない。中国が対外的冒険で国民の不満をそらすことなく、国際協調で難題を解決するためなら先進国も協力を惜しまないことが望ましい。ともあれ、かなり衝撃的な番組ではあり、激走する大型トラックは現在の中国の姿とも映った。
登録:
投稿 (Atom)